解説
誕生釈迦仏は、両手で天と地を指し「天上天下唯我独尊」と唱えたという、釈尊の誕生時のエピソードにもとづく。4月8日の灌仏会の本尊として制作されたため、遺例は多い。あどけない顔だちや自然な体躯の表現は7世紀末頃の金銅仏の特徴である。(20160412h1-2)
ルビ:天上天下唯我独尊 てんじょうてんげゆいがどくそん 灌仏会 かんぶつえ 体躯 たいく
小さくかわいらしい仏像。これはお釈迦さまが誕生した場面を表わしたものです。いまから約2500年前、いまのネパールにあるルンビニーという美しい花園でお釈迦さまは生まれました。母・摩耶夫人(まやぶにん)の右脇から生まれた後、すぐに7歩を歩み、その足元には蓮の花が咲いたと伝えられています。そして天と地を指差し、「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆいがどくそん)と高らかに声を発しました。これはこの世界すべての人々を救うために生まれてきたという宣言です。
毎年4月8日に行なわれる花祭りでは、こうした小さな誕生仏に甘茶(あまちゃ)を注ぎかけ、お釈迦さまの誕生をお祝いします。これは誕生の産湯(うぶゆ)が天から注ぎ掛けられたという伝説を再現したもので、わが国では飛鳥時代からその伝統が続いています。
この像では右手で天を、左手で地を指差しており、腰に布を巻いただけで上半身が裸なのは赤ん坊であることを意味しています。小さいながらも、堂々とした眉や結んだ口元が利発そうな印象を与え、礼拝の対象として相応しい姿です。
この作品が作られた飛鳥時代の末期には、童形像(どうぎょうぞう)とよばれる子どものような姿の仏像が好まれていました。荘厳さと可愛らしさを兼ね備えたお釈迦さまの姿。魅力あふれる古代の金銅仏をお楽しみください。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/30