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薬師如来坐像 The Buddha Yakushiやくしにょらいざぞう

解説

クスノキの一材から大半を彫り出したうえ、表面にペースト状のものを塗り重ねて成形する技法で制作されています。面長な顔立ちや簡略な衣の襞+ひだ+が奈良時代末の特色を示しています。明治期に奈良・法隆寺の近辺で入手したと伝わります。


 仏教では、さまざまな名前、姿や形、役割をもった仏たちが登場します。如来とは、真理に達した者という意味です。もともと仏教を開いた釈迦如来のみを指しましたが、釈迦の死後、仏教が発展していくと、他にも如来がいると考えられるようになりました。
 この像は薬師如来といいます。名前に「薬」という字があることから分かる通り、あらゆる病気を治す力を持っているとされています。如来は基本的な姿かたちが共通していて、この像にもあらわされているように、螺髪(らほつ)という粒状の巻き毛がいくつもある髪型、首元の三本の皺(しわ)、布をまとうだけの質素な服装などが主な特徴です。
 造形を見てみましょう。顔は面長で端正なつくりで、衣の襞(ひだ)は浅くシンプルに彫りあらわされています。
 この像は、ひとつの木材から像のおおよその形を彫り出した上、表面にペースト状の物質を塗り重ねて成形する技法でつくられています。この技法は「木心乾漆造」(もくしんかんしつづくり)と呼ばれます。表面のペースト状の物質については、最近の研究により、楡(にれ)という木の樹皮の裏の、粘り気のあるものに、木の粉などを混ぜたと考えられるようになっています。こういった工程により、原型である木の重厚さと、ペースト状の物質が持つ柔らかさの両方の特性が発揮されるのです。その一方で手間や時間、大きな財力が必要とされます。この技法は、主に奈良時代の8世紀に用いられたもので、それ以降の時代の仏像は、表面のペースト状の物質の層が薄くなり、木造に分類されます。

メタデータ

教育

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収録されているデータベース

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ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。

2026/03/30