本文に飛ぶ

和歌体十種断簡 Part of Ten Styles of Japanese Poetryわかたいじっしゅだんかん

解説

『和歌体十種』は、10世紀の末から11世紀初めに成立した歌論書で、和歌を10体に分類して論じたもの。本作は、その現存最古の写本の断簡。藍と紫の大きな飛雲が漉き込まれた料紙に調和するリズミカルな筆遣いは、高野切第一種によく似た筆致である。ルビ:かろんしょ、とびくも、す(き)こ(まれ)、りょうし、ふでづかい、


 本作品は、天慶(てんぎょう)8年(945)、壬生忠岑(みぶのただみね)(生没年不詳)が著(あらわ)した『和歌体十種』の現存最古の写本です。忠岑は『古今和歌集』の撰者の一人であり、三十六歌仙にも名を刻む歌人です。原本は現存していません。書写した人物は、江戸時代初期の古筆鑑定家・古筆了佐(こひつりょうさ)(1572~1662)が「御子左一流忠家卿真筆也」と藤原忠家(ふじわらのただいえ)(1033~91)に極(きわ)めていますが、現在は別人の手によるものと考えられています。
 『和歌体十種』は、和歌の様式を十種に区分して論じたものです。巻子には、古歌(こか)体、神妙(しんみょう)体、直体等の各様式と、それぞれ例として和歌五首が仮名で書かれています。和歌のうしろの漢文は、様式の説明文です。料紙の装飾性も見事です。大ぶりでふわっと浮かぶ藍と紫の飛雲(とびくも)文様が、作品全体にリズムと彩(いろど)りを与えています。
 巻子には、華艶(かえん)体(九体目)の漢文(説明文)から、両方体(十体目)の和歌にかけて欠損があります。合わせて展示する掛幅が、その欠損部のさらに一部の断簡です。
 どちらの作品も、その内容の歴史・文学的な価値だけでなく、美麗(びれい)な文字と料紙の装飾性の高さから、我が国が誇る名品といえるでしょう。

メタデータ

教育

規約に従うことで制限なく利用できる

非商用

規約に従うことで制限なく利用できる

商用

規約に従うことで制限なく利用できる

収録されているデータベース

ColBase

ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。

2026/07/20