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松浦宮物語 The Tale of Matsura no Miyaまつらのみやものがたり

解説

鎌倉時代前期に成立した擬古(ぎこ)物語。遣唐副使であった少将氏忠の恋愛物語で、藤原定家の作と伝える。本書は蝶鳥や海辺の金銀泥下絵、色紙、打曇紙などの装飾料紙に、流麗な筆致で書写した調度手本として貴重。流布本系統の本文をほぼ完存する現存最古の写本。


 『松浦宮物語』は、鎌倉時代につくられた物語です。容貌才覚共にすぐれた主人公氏忠が失恋したのち、遣唐使の副使となって中国に渡りました。そこで、帝の妹から琴の秘曲を授かりますが・・・と、ストーリーをすべて紹介するわけにはいきませんが、主人公の恋愛を軸に展開する伝奇的、幻想的な物語です。鎌倉時代前期の歌人として有名な藤原定家の著作と伝えられています。
 見どころの一つは、優美な書。ぽってりと肉付きがよく、一文字の中で太いところと細いところのコントラストが大きい点にご注目ください。これは鎌倉時代中期以降の書の特徴と言えるでしょう。
 もう一つの見どころは、華麗な紙です。様々な色の染紙や、雲のような文様を表す雲紙(くもがみ)などが使われています。
 最後に、描かれた絵の美しさにもご注目ください。たとえば、金銀を使った絵の具で、月と雲、楓の枝と垣根の菊を描いたページがあります。物語の場面も秋。美しい下絵が、読む人の心をつかんだことでしょう。

メタデータ

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2026/07/20