解説
応徳3年(1086)3月19日に藤原経平(つねひら)家で催された歌合を記しています。春・夏・秋・冬各2題に恋・祝を加えた10題10番で、判者は経平の子通俊でした。20巻本『類聚(るいじゅう)歌合』の巻14に所収されていたものです。
歌合(うたあわせ)とは、「左」と「右」に歌人を分け、お題に合わせて和歌を詠(よ)み、その出来栄えを競う遊びです。平安時代、貴族の間で盛んに行われました。歌合の記録を編集する事業も行われ、その書き写しには書に優れている人物があたりました。
この作品は、藤原経平という貴族の家で行われた歌合の記録の一つです。罫線がひかれていることや装飾のない紙を使っていることから、下書きだったと考えられます。
経平家で行われた歌合は、応徳3(1086)年3月19日に開催。春駒(はるこま)・桜・郭公(かっこう)・水鳥・萩・月・鴛鴦(おしどり)・雪といった、春・夏・秋・冬それぞれに関連したお題を2つずつ、そして恋・祝を加えた計10題で競われました。歌人は記されていません。歌を判定したのは、経平の息子、通俊(みちとし)です。一題ずつ和歌を詠み、「左」か「右」の文字の下に「勝」の字があるほうが、勝者です。続いて判定の理由が述べられています。
「一番 春駒」の書に注目してみると、「左」と「右」の和歌の書きぶりが違うのにお気づきでしょうか。線の太さの違いや墨の溜まり方を見比べると、ここで書き手が変わっていることがわかります。歌合の記録の書き写しには、複数人が携わっていたことが分かっており、この作品のように2人で書き上げられたものもありました。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/08/03