解説
喜多川歌麿は、女性の単身像をよく描いたが、本図は、一般女性の日常を描いた群像作品。日常の一瞬に女性の様々な美しさを見出している。鉄の茶釜や竃(かまど)には、色を変えて雲母(きら)を用い、金属の質感を出し、鋲(びょう)は空摺(からずり)で立体的に表現されたている。摺りに贅(ぜい)が凝(こ)らされている。
江戸時代の絵師、喜多川歌麿による浮世絵版画です。歌麿は、主に遊女を描いた女性の単身像で知られていますが、これはちょっと珍しい一般の女性の群像です。
4人の女性の中央に、台所の竃(かまど)があります。右下の女性は火吹竹を吹いています。そこから舞い上がる煙に眉をしかめているのは、湯呑を持って釜に近づいた女性。思わず首をすくめて煙をよけているようです。左側には、茄子の皮をむく女性と、背中に子を背負い、お椀を拭く女性。日常の一瞬を切り取ったシーンです。歌麿は、一心不乱に家事に勤しむ女性の姿に美を見出したのでしょうか。
なにげない日常の一場面でありながら、摺りの技術はたいへん凝っています。鉄の茶釜や竃には、色を変えて雲母(きら)を用い、金属の質感を出し、鋲の部分は空摺で立体的に見せるというようにです。描かれているモチーフのカジュアルさに対して、とても贅沢に作られた一枚です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/16