解説
吉原の芸者を描いた3枚続の中の1枚。手に撥を持ち、足元に三味線を置いたすらりとした立ち姿で描かれた「いつとみ」は富本節を得意とした寛政年間(1789~1801)を代表する人気芸者。すっきりとした背景と伸びやかな姿に栄之の特徴がよくあらわれている。
スリムな立ち姿の美人が白い背景に描かれています。これは「青樓藝者撰(せいろうげいしゃせん)」という3枚続きの浮世絵版画のうちの一枚で、吉原の代表的な芸者が名前入りで紹介されています。
この女性、いつとみは寛政年間(1789~1801)を代表する人気芸者で、手に撥(ばち)を持ち、足元に三味線を置いています。着物の「三つ柏」の紋から、富本節(とみもとぶし)を得意としていたことがうかがわれます。
背景はごく少量の雲母を振りかけた白雲母摺(しろきらずり)で、白い下地の上にきらきらとした雲母(うんも)の粉末がわずかに残っています。白い背景に、すらりとした優美な美人が描かれた明るい印象の一枚です。
作者・鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)には他にも、黒い背景に同じような立ち姿の遊女を表した「青樓美撰合(せいろうびせんあわせ)」という3枚続きの作品があります。同じ時期に同じ版元から出された、対をなすシリーズです。どちらも無地の背景にほっそりとした全身像を描いた美人図で、作者の特徴をあらわす人気の作品です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/30