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見立鉢の木 Allusion to the Noh Play Hachinoki (Potted Trees)みたてはち き

解説

謡曲「鉢木」の場面を女性にやつして描いた作品。「鉢木」は、大雪の夜、貧しい武士が旅の僧を泊め、大事にしていた梅・桜・松の鉢の木を火にくべてもてなすが、その僧が実は北条時頼で、後にそれが報いられ、鉢植えのお礼として3つの領地を与えられた、というストーリー。


江戸時代中期の絵師・鈴木春信による、浮世絵版画です。
雪景色の中、縁側に振袖姿の若い娘が座っています。彼女と視線を交わすように庭にしゃがみ込んだ女性は、帯を前に締めているので、遊女でしょうか。右手に刃物を持ち、雪の積もった鉢植えの枝に手をかけています。いったい、何が起こっているのでしょう。
実はこの作品は、能の曲目「鉢木(はちのき)」の場面を女性にやつして描いています。「鉢木」では、貧しく住まう武士、佐野源左衛門常世(さのげんざえもんつねよ)が、大雪の夜、旅の僧を泊め、大事にしていた鉢の木を火にくべてもてなします。その僧が実は将軍を補佐していた北条時頼で、のちにそれが報いられ、失った領地を回復し、鉢植えの梅、桜、松にゆかりの地名の三つの領地を与えられる、という話です。
当世の風俗を故事や逸話になぞらえて鑑賞する「見立て」の趣向は、江戸時代に流行し、浮世絵で多く描かれるようになりました。当時は、この絵を見ただけで「鉢木(はちのき)」に見立てて鑑賞できる人が多かったのでしょう。
この作品はまた、紙の白さを生かして雪を表現しているところも見どころです。地面や、鉢の木に降り積もる雪の部分は、よく見ると凹凸でふかふかとした柔らかさをあらわしています。これは「きめだし」といい、凹面の版木に紙をあて、その裏からたたき出して紙に盛り上がりを作る方法です。

メタデータ

教育

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収録されているデータベース

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2026/03/30