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紫式部日記絵巻断簡 Detached Segment of Illustrated Scroll of Diary of Lady Murasakiむらさきしきぶにっきえまきだんかん

解説

『源氏物語』の作者・紫式部が宮中での営みをつづった『紫式部日記』を描いた作品。現在、二十数段が現存し、各所に分蔵されている。この断簡ももとは巻子であったが、昭和8年(1933)、益(ます)田(だ)鈍(どん)翁(のう)が絵巻を分け、現在の掛幅装となった。鎌倉時代王朝物語絵の代表作である。


 日本の古典文学の最高峰とも言われる「源氏物語」の筆者、紫式部(むらさきしきぶ)の日記を絵巻にしたものです。紫式部が仕えていた一条天皇の中宮彰子(しょうし)が、のちに後一条天皇となる敦成(あつひら)親王を出産した際の様子や産後のお祝いの儀式についてなど、親王誕生前後の数年間の出来事が詳細に記されています。文学作品としてはもちろん、平安時代の貴族たちの暮らしを今に伝える貴重な資料です。
 これは敦成親王の誕生50日を祝う儀式の場面を切り取って、掛け軸にしたものです。画面右側、背を向けている女性が中宮彰子。画面下の男性は、彰子の父で、当時宮廷で大きな権勢を振るっていた藤原道長。そして、左は、道長の妻であり彰子の母である北の方と生後50日を迎えた親王です。
 ところで、この絵巻が描かれたのは、鎌倉時代で、紫式部の時代から200年以上あとのことです。引目鉤鼻と呼ばれる人物の類型的な描き方など、平安時代の伝統的なやまと絵と同様に見えますが、よく見るとそれぞれの人物の個性や表情が表わされていることに気付きます。リアリティを求めた、鎌倉時代ならではの表現といえるでしょう。また、道長が着ているのは、鎌倉時代に流行した強装束(こわしょうぞく)と呼ばれる糊づけされた直線的な衣です。
 鎌倉時代の人びとの好みを反映させた、王朝絵巻ということができるかもしれません。

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2026/06/22