解説
夕顔棚の軒端(のきば)の下で、夕涼みをする三人の家族。みな無言で月を眺めている。父のそばに坐る子の表情は穏やかで、その子を思う親の心が強く感じられる。守景は、狩野探幽(かのうたんゆう)門下四天王の一人で、本作には、卓抜した画技の高さがいかんなく発揮されている。(2005/08/02)
晩夏の夕べ、粗末な小屋の傍(かたわ)らに竹で組まれた棚には瓢簞(ひょうたん)の実が下がり、筵(むしろ)を敷いて三人の家族が涼みながら無言で白い満月を見つめています。月の周りは暗く、間もなく夜のとばりが落ちてくることを知らせています。近くに小川の流れがあるのか、砂利が細かく描かれていて、一筋の涼風も感じさせます。
三人の身なりは貧しく見えますが、寝そべる男は気概を感じさせる凛(りん)とした表情です。三人の輪郭線や月、竹竿(たけざお)などのモチーフすべてが、異なる筆法で描き分けられていて、卓抜した画力が遺憾なく発揮されています。一日の労働の後、清涼を求め家族で寛(くつろ)ぐひとときですがどこか、もの悲しさを感じさせます。
作者の守景の子も絵師でありましたが、息子は不行跡がたたって佐渡に流され、娘も父のもとを離れたようです。この絵を見ていると、夫婦とその子というよりも、父をはさんで寄り添う二人の子への守景の思いが込められているように思えてなりません。
作者の守景は生没年など不詳であり、謎めいた江戸時代初期の絵師です。徳川将軍家に仕え、当時の画壇に君臨した狩野探幽(かのうたんゆう)(1602~74)の高弟で、門下の四天王の一人として知られましたが、師から破門されたとも、加賀藩(現在の石川県、富山県)に仕えたとも伝えられています。
収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/07/20