解説
琴棋(囲碁)書画の四芸は教養人必須の風流事とされ、とくに室町期以降、日本で好画題となった。通常男性文人が描かれるが中国の官女の姿に換え、琴は包まれたまま碁は右端に放置。着色と水墨の並置も独特だ。桃山絵画界を代表する友松の魅力あふれる傑作。(山下善也氏執筆)
ふたつの屏風がセットになっています。色鮮やかな衣を着たたくさんの女性が描かれています。画面のあちこちで、女性たちは何をしているのでしょうか。
作品のタイトルにもある「琴棋書画(きんきしょが)」とは、中国の弦楽器・琴(きん)を演奏し、碁を打ち、文学や絵画を鑑賞すること。中国の知識階級が身につけるべきとされたこの4つをたしなむ教養人の姿は、絵画のモチーフにも多く登場します。通常は男性で描かれるのですが、それを中国ふうの女性像に置き換えた点が、この作品のユニークなところです。
皆さんは、「琴」「碁」「書」「画」の4つのモチーフを、絵の中に見つけることができますか?ちょっとひねった描き方をされているものもあります。ぜひ探してみてください。また、岩や樹木といった自然は水墨で、人物や机などは着色で、といったぐあいに、モチーフを描き分けています。
作者の海北友松(かいほう ゆうしょう)は、織田信長や豊臣秀吉の生きた安土桃山文化を代表する画家です。同時代に活躍した専門絵師の狩野永徳や狩野山楽とは違い、武家の出身で、本格的に絵画の制作を始めたのは60代と、遅咲きでした。この時代ならではの華やかさに加えて、武士らしい勢いのある力強い線、そして丸みを帯びた岩や幹のかたちが特徴的です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20