解説
三人の旅人は、月の浮かぶ夜明け前の山野を馬に任せるまま進み、四人の老いた高士は、童僕の手を借りながら、清流を越え、急な山道を登る遅々として進まぬ旅をゆくさまが描かれています。中国風の主題を俳趣あふれる描写に置き換えた、蕪村の代表作の一つです。
広々とした野山を行く人びとが描かれた、2枚でセットの屏風です。右の屏風では、まだ月の浮かぶ夜明け前の道のりを、3人の旅人が馬とともに進みます。左の屏風では、4人の老人が、子どもに助けられながら川を渡り、急な山道を登っています。景色や人物は、墨に加えて透明感のある淡い色合いであらわされ、風そよぐ清々しい空気がこちらまで伝わってくるようです。
この作品を描いたのは、18世紀後半に活躍した俳人であり画家の与謝蕪村(よさぶそん)。これは蕪村が50代後半頃の作品です。彼はまず俳諧師(はいかいし)としてスタートし、俳句をともなうシンプルな絵画、俳画(はいが)に個性を発揮しました。活躍の場が絵画の世界になっても蕪村は俳諧の心を失わず、その独特な軽妙さがそのまま彼の絵画の魅力となっています。中国ふうのテーマではありますが、おかたい偉い人という雰囲気ではなく、人物の表情などはユーモラスです。俳人ならではの感性や繊細な詩情が感じられ、細部をしげしげと見るというよりも、絵の前に立ち、ただただこのおおらかな空気感を浴びて楽しむような作品です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20