解説
可翁は14世紀前半に活躍したと推定されるが、詳しい伝記はわからない。中国の禅余画に倣った寒山拾得図や、水墨の花鳥図が伝存する。可翁については、元に渡った禅僧、可翁宗然とする説と、宅磨派の画家とする説がある。(ぜんよが かんざんじっとくず かおうそうねん たくま)
左手に網を持った男性が、右手で何かをつまみ上げています。指の先にあるものをよく見てみると、蝦(えび)です。これは、中国・唐時代末、9世紀ごろの禅僧、蜆子和尚(けんすおしょう)を描いた作品です。蜆子は住むところを定めず、河辺で蝦や蜆(しじみ)をとって食べ、夜は祠(ほこら)の中で寝るといった生活をしていました。画面の中の蜆子は、水辺で今まさに蝦を釣り上げたところなのでしょう。蝦を見上げた表情はどこか嬉しそう。開けた口の中にそのまま放り込んでしまいそうな勢いです。
作品の筆遣いに注目してください。中央に描かれた蜆子の顔や手足は細い線で描かれていますが、しっかりと輪郭をとらえています。一方、髭(ひげ)や服、地面、岩、樹木などは淡い墨をつかい、筆を素早く動かしながらも、線の太さに強弱をつけて巧みに描いています。少ない筆数ですが、筆のタッチを使い分けることで、蜆子の人柄まで想像させるいきいきとした表情や背景の空間を的確に描き出しています。
画面右下に押された印から、作者は可翁仁賀(かおうにんが)とされます。14世紀前半に活躍したといわれていますが、詳しいことはわかっていません。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20