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近江八景 Eight Views of Omi Provinceおうみはっけい

解説

紫紅は、江戸時代から馴染みの画題となっていた琵琶湖畔の名勝八景を従来の観念にとらわれず描く。西洋絵画の影響を色濃く受けているのは明らかであるが、大正元年の夏に湖畔を旅して歩いた折の印象とスケッチをもとに独自の夏景を創り上げている。 


 「近江八景」とは、かつて近江国(おうみのくに)と呼ばれた現在の滋賀県にある、日本最大の湖、琵琶湖周辺から、8つの風情(ふぜい)ある景観を選んだものです。中国・湖南省の瀟湘(しょうしょう)地方の八景を描いた「瀟湘八景図」は、日本でも人気となり、それになぞらえた近江八景や金沢八景などが、絵に描かれたり歌に詠(よ)まれたりしました。近江八景は、江戸時代17世紀には選定されていたともいわれています。
 この作品は、江戸時代以来の画題である「近江八景」をうたい、日本の伝統的な絵画の形式、材料、技法にのっとりながらも、従来の近江八景図にとらわれることなく、独自の感性を自由に発揮しています。一般的に近江八景には四季があるのに対し、ここでは主に夏の景観を描いています。作者が大正元年、1912年の夏に琵琶湖を旅して歩いたさいの印象とスケッチをもとに、独自の構想を交えて創り上げた作品です。もともと八景図は、季節や時間の差を意識的に描きわけるものですが、この作品では景観ごとの描きわけが徹底しています。視点、余白のとりかた、色彩、筆のタッチなどを自在に変え、それぞれが強烈な個性を放っています。
 作者の今村紫紅は、1880年神奈川県に生まれ、1916年に没した日本画家です。日本絵画の伝統を乗り越え新しい境地を切り開くことを強く意識し、創作を行いました。その革新的な作風は、当時の画壇に衝撃を巻き起こし、後の画家たちにも大きな影響を与えたといわれています。この作品には、そうした作家の創作態度が色濃くあらわれています。

メタデータ

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収録されているデータベース

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2026/07/20