解説
餓鬼とは、生前に、欲望のままに悪い行いをした報いにより、常に飢えや渇きの苦しみに悩まされる死者の霊のことである。平安時代末の極楽浄土信仰を背景に制作されたこの絵巻には、不気味な餓鬼達の様子が精細に描写されている。
餓鬼(がき)とは、生前に、欲望のままに悪い行いをした報いにより、常に飢えや渇きの苦しみに悩まされる死者の霊のこと。平安時代末の浄土信仰を背景に制作されたこの絵巻には、不気味な餓鬼達の様子が細かく描写されています。「餓鬼草紙(がきぞうし)」は『正法念処経(しょうぼうねんじょきょう)』にもとづいて描かれた絵巻ですが、伝来の過程で図の説明にあたる詞書(ことばがき)が失われており、 各場面が何を表わしているかについてはいくつかの説があります。ここではその一部を見ていくこととしましょう。
まずは音楽を楽しむ男女を描いた場面。肩や胸に小さな餓鬼が取り付いています。これは仏の教えを軽んずる人の精気を食らう餓鬼と考えられています。つぎに出産の場面では、生まれでた赤ん坊を食らおうと餓鬼が手を伸ばしています。これは生前に病人を騙したものが地獄から這い上がってきた姿です。また人々の排泄物(はいせつぶつ)を食らおうと待ち構える餓鬼の姿。僧侶に与えるべき食料をよごした者がこの姿になるといいます。
いずれも恐ろしい餓鬼の姿。こうした姿を目の当たりにすることは、自身の生活を反省することに繋がるものといえるでしょう。みなさんにはどう感じられますか?
なお、本作はもともと、後白河法皇(ごしらかわほうおう)がつくらせ、三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)で有名な京都・蓮華王院(れんげおういん)の蔵で保管されていた「六道絵(ろくどうえ)」の一部と推定されています。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/30