解説
霊彩は15世紀中頃を中心に活躍した。特徴的な衣文線(えもんせん)と繊細な淡墨による暈(ぼか)しを用いて水墨の道釈画に独自の画風を開いた。文殊と獅子の毛髪を描く線は流麗で、持物や衣、獅子の毛髪には精細な金泥線が添えられ、獅子の右下に「霊彩筆」の金泥落款がある。(2005/08/30)
室町時代に活躍した水墨画家、霊彩(れいさい)が描いた文殊菩薩像です。
霊彩の魅力はなんといってもその線にあります。変幻自在、かつ滑らかでスピード感のある線をたどってみてください。衣の、細くなったり太くなったり、激しく変化する線。獅子の毛の細く繊細で柔らかな線。最も特徴的なのは、菩薩の足元を覆う衣に見られるような、アルファベットのWのかたちに屈曲する線でしょうか。そこから生まれる、独特な立体感や質感は、他の画家にはないものです。まさに線の達人と呼ぶにふさわしいでしょう。
もうひとつ注目していただきたいのは、金泥(きんでい)と呼ばれる金の絵の具の使い方です。文殊菩薩が手に持つ如意(にょい)は輪郭が墨の線で描かれていますが、中央には金の線が入っています。菩薩がつけているアクセサリーにも金の線があしらわれているのがわかりますか?獅子の細い毛の部分も、よく見ると墨の線と線の間に細い金の線が描かれています。獅子の右下にある「霊彩筆」のサインも金泥を筆に付けて書かれています。
いずれも、展示室のガラスケースごしではなかなかわかりづらいかもしれませんが、是非眼をこらして見てください。
最後に、菩薩の頭の後ろにさす頭光(ずこう)の表現にもご注目ください。輪郭を描かず墨のぼかしで光を表わしています。ほんとうにそこから光が発しているような表現は、水墨の仏画ならではのものです。
収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/07/20