解説
不動明王(ふどうみょうおう)は大日如来(だいにちにょらい)の化身で、おそろしい姿をし、仏教の教えをうながす役割を果たします。その体の色は青く、顔をしかめ右眉をぐっとあげ、唇の上下に牙をのぞかせています。右手に煩悩を切り裂く剣、左手には教えに従わない人々を縛って引っ張る索(さく)というロープを持っています。画面右側には、子どもの姿をしたおつきのものが二人描かれています。左側の矜羯羅(こんがら)は、蓮華の花を持ち、おとなしい顔つきで不動明王をみあげています。一方、右側の制吒迦(せいたか)は肌の色が赤く、こん棒を持ち、いたずらな表情を浮かべます。画面の左に描かれるのは、不動明王の剣の化身である倶利伽羅龍(くりからりゅう)です。背後には、燃え盛る炎が描かれています。これは、迦楼羅焔(かるらえん)といい、迦楼羅という伝説上の鳥が吐き出したもの、もしくは迦楼羅の姿をかたどったものです。作品をよく見ると、左側を向いた炎の鳥が、羽ばたこうとしているように見えてきませんか。不動明王の迦楼羅焔は画家によって描き方がさまざまですので、見比べてみるのも楽しみ方の一つかもしれません。
三鈷剣@さんこけん@と索@さく@を持ち、岩座の上に立つ不動明王と、赤色の制吒迦童子@せいたかどうじ@、明王を見上げる矜羯羅童子@こんがらどうじ@、明王の化身である倶利伽羅龍@くりからりゅう@が描かれます。画面の傷みは惜しまれますが、柔らかな彩色と的確な描写が窺えます。不動明王、二童子、倶利伽羅龍を一図に描く珍しい作例です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20