解説
画面中央で、白い狐に乗っているのが、荼吉尼天(だきにてん)です。正面が象、左右に天女、合わせて3つの顔と12本の腕、背中には大きな翼をもつ姿が、ただならぬパワーを感じさせます。周りに描かれているのは、修法(しゅほう)の場を守る神さまと、荼吉尼天に仕える童子たちです。
荼吉尼天は、もとはインドのヒンドゥー教の女神です。人の死を半年前に知り、死の直後に心臓をとって食べるという怖い神さまです。が、のちに仏教の守護神のひとつになりました。また、この作品のように、狐に乗った姿は日本独自のもの。日本に昔からある稲荷信仰(いなりしんこう)と結びついたものです。
荼吉尼天をまつる修法はとても大きな力をもつとされ、敵にのろいをかけるようなときにも使われました。「源平盛衰記」や「太平記」などには、平清盛や後醍醐天皇(ごだいごてんのう)に仕えた僧、文観(もんがん)がその修法を行っていたと記されています。
ヒンドゥー教の女神に由来する、密教の鬼神@きしん@の一種です。人の死を半年前に察知するといわれ、中世以降、狐@きつね@と結びつきました。本作品では狐に乗る天女@てんにょ@の姿で表されます。このほか大黒天@だいこくてん@や十五童子@じゅうごどうじ@をはじめ、様々な尊像が描かれています。民間信仰にもとづく異色の作例です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20