解説
菱川師宣の後、宝永から正徳年間(1704~1711)頃の江戸で人気を博した懐月堂安度は、工房制作によって多くの肉筆浮世絵を描きました。大胆に身を捩@よじ@り、禿@かむろ@に耳打ちする遊女は、雪持笹模様の瀟洒な衣装をまとっています。禿は稲妻に蔦模様の振袖姿です。
大きく弓なりに身をよじった女性が、傍らの少女の肩に手を回し、顔を寄せて何やら耳打ちしています。いったい何をささやいているのでしょうか。
雪の積もった笹がデザインされた、優雅な衣装を身につけた左の女性は遊女、右側の少女はその身の回りの世話をする禿(かむろ)です。顔や髪、手足の繊細な描き方とは対照的に、着物は大胆な色と文様、そして抑揚のある輪郭線で描かれています。
このような特徴ある表現で、無地の背景に肉筆で美人画を描くのは、作者の懐月堂安度(かいげつどうあんど)の得意とするところでした。安度は江戸時代中期、18世紀の初めに活躍した浮世絵師で、彼の主宰する工房では、多くの門弟たちがこのスタイルの女性の単身像を量産していました。しかし、二人以上の人物が描かれているのは珍しく、なおかつ安度本人が描いたことがはっきりとしている点で、この作品は貴重なものといえます。
遊女は、なじみの客への言づてでも耳打ちしているのでしょうか、それともこれは単に内緒話をよそおい注目をさそうポーズなのでしょうか。描かれる人物が二人になり、こうした身振りが加わるだけで、私たち鑑賞者の気持ちもぐっとこの絵にひきつけられます。
収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/06/22