解説
この絵はかつて、京都の禅宗寺院、大仙院を飾っていた襖絵で、4枚が連続した大きな画面でした。
一見すると、ゆったりとした時が流れる川のほとりを描く風景画のようですが、実は歴史上の人物を描いた人物画です。左端で釣り糸をたれているのは、中国古代の軍略家、呂尚(りょしょう)。またの名を太公望(たいこうぼう)といいます。この絵にあるように釣りをしていた逸話から、釣り人の代名詞として使われることが多いので、一般には太公望の名で親しまれている人物です。中央に描かれているのは、周の文王です。
この2人の出会いについて、有名な逸話があります。あるとき文王が、占いで「川のほとりで大きな獲物を得るだろう。それは、獲物ではなく人物である」といわれ出かけたところ、釣りをしていた太公望に出会い、その才能を見出してブレーンに抜擢した、というものです。この絵はまさにその場面を描いたものでしょうか。太公望はその後、文王に軍師として仕え、文王の子、武王のときに殷を滅ぼし、周の建国に貢献しました。文王の背後に描かれた子どもが抱えている書物は、太公望が記したとされる6巻の兵法書「六韜」(りくとう)を思わせます。「六韜」は日本の武将たちも愛読したとされる名著です。
大仙院は名僧、古嶽宗亘(こがくそうこう)(1465~1548)が永正10年(1513) 大徳寺(だいとくじ)の中に隠居所として建てた塔頭(たっちゅう)です。当時の禅僧は漢学の素養も身に付けていたこと、また有力な武将との交流もあったことから、こうした画題を寺院の襖絵に取り入れたものと考えられます。
太公望は中国古代の軍略家で、本名は呂尚といいます。川で釣りをしていたところを周の文王に見いだされ、軍師として迎えられたと伝えられます。本作は京都・大仙院の障壁画の一部だったもの。流派の基礎を築いた狩野派の二代目・元信の工房で描かれました。
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収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/07/20