解説
江戸時代最大級の油絵。近年発見の下絵には、斧で木を割る人と炭焼き窯の番人がみられたが、本絵では転がる木材と炭焼きの煙だけが残り、実にシュールな景となった。徹底して風俗要素を排し、風景そのものを描こうとしたようだ。技巧派=田善の代表作。
信州の浅間山を描いた屏風です。屏風なのに油絵で描かれていて、とても珍しい感じがします。作者の亜欧堂田善(あおうどう でんぜん)はヨーロッパの文化を研究する蘭学者(らんがくしゃ)と交際がありました。西洋の絵画を研究し、銅版画や油絵を制作していました。
青い空を背景に、ピンクがかった大きな山が描かれ、白い煙があがっています。その手前に、木が一本だけぽつりと描かれています。画面の左側の地面には木材が転がり、さらに左端には葉を茂らせたままの木々が切り倒され、散乱しています。人っ子一人見えず、なんとも不思議な雰囲気の絵です。
実はこの作品には何段階か下絵がありました。左側には木を斧で割ろうとする人物と、炭焼き窯の番をする人物が描かれていましたが、最終的にはいなくなりました。その結果、地面に転がる木材と、炭焼きの煙だけが残ったようです。絵の主題が、風俗的なものから風景そのものに変わったことがうかがえます。
また、木材が地面に落とす影も、下絵では描かれていたのに、最後には消されています。全体に立体感や遠近感にとぼしく見えるのも、作者が意図的にめざしたことなのかもしれません。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/16