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解説

右に春、左に秋の景色を描き、山野に遊ぶ馬と調教する武人たちの姿を描きます。当時、調馬図(ちょうばず)や厩図(うまやず)といった馬を主題とする作品が多く描かれましたが、等伯のこの作品は松や柳といった花鳥画の要素を盛り込んだ景観の中に、さまざまな模様の馬を丹念に描写しています。


 左右でセットになった屏風に、ところ狭しとたくさんの馬が描かれています。毛色もからだの模様もさまざまですが、立派な馬ばかり。水辺で馬が駆けたり、首を振り立てたり、うしろ脚を跳ね上げたり、あるいは地面に伏せて休んだりする活き活きとした姿が描写されています。馬に乗る、あるいは調教する武士の姿も見えます。こうした美しく立派な姿の馬は、単なる動物ではなく、いつか乗りこなしてみたい、憧れのスーパーカーのような存在でした。気性が激しいほど良い馬とされ、それを乗りこなしてこそ武士、という感覚もあったようで、馬が非常に躍動的に描かれているのもうなずけます。
 周囲には、さまざまな種類の樹木や草花が丹念に描き込まれています。向かって右側の屏風には藤や柳の若葉といった春の景色、左側の屏風には紅葉や薄、菊、萩などの秋の草花があらわされています。
 馬は、もともとは中国で好まれた画題ですが、日本では武士を中心に広く受け入れられました。こうした中国風の画題に、日本の草花が描きこまれているのがこの作品の特徴的なところです。
 作者の長谷川等伯は、安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した絵師です。これは「信春(しんしゅん)」と名乗っていた若い頃の作品で、かつて押されていた「信春」印がいつしか消されてしまったと伝えられます。

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2026/07/20