解説
江戸時代の土佐光貞の箱書きによれば、土佐光信が義政の姿を描いたものという。像主は黒の袍と浅葱色の指貫を着し、右手に檜扇を持つ衣冠姿である。襖絵や鏡台が描き込まれ、また小画面であるため、公的な肖像画とは別種の親密さ、臨場感を感じさせる。(20040901_h05)
室町幕府第8代将軍、足利義政を描いたと伝えられる肖像画です。この掛軸をしまっておく箱に、室町時代の絵師・土佐光信が義政を描いたものであるということが書かれ、代々土佐家に伝わったとされています。光信は宮廷絵師のトップにまで昇りつめた室町時代を代表する絵師です。
義政は宮中での正式な服装である衣冠(いかん)姿で、遠くを見つめます。落ちつきと威厳に満ちています。
この作品には、一般的な将軍の肖像画とは異なる点がいくつか見られます。まず、背景が描かれている点です。背景の襖には墨の濃淡でモチーフを描く水墨画が描かれていますが、他の肖像画に背景が描かれている例はあまりありません。書画にも知識の広い文化人であった義政を象徴しているのでしょうか。次に、画面右側に鏡が描かれています。これも例にないことで、何か意味があるのかもしれませんが、詳しいことはわかっていません。そして、画面が横長というのも珍しい点です。
異例な点の多い肖像画ですが、背景の襖や鏡に関しては、もしかしたら肖像画をオーダーした人物から要望があって描かれたのかもしれません。それぞれのアイテムがなぜ描きこまれたのか、推理してみるのも面白い見方です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20