解説
平安時代の武将、源頼光(みなもとのらいこう)とその部下の渡辺綱(わたなべのつな)による土蜘蛛退治を描いた絵巻です。京都市街地北部のあばら家を舞台に、頼光ら一行を追い払おうと化け物が次々と登場してきます。化け物たちは個性豊かで、どこかこっけいでもあります。
物語は右から左へと進んでいきます。絵巻の終盤、土蜘蛛を討ってからあばら家を焼き払うまでが描かれていますが、登場する人物にご注目ください。土蜘蛛を討つ二人の人物と、その横であばら家を焼き払う二人の人物が描かれていますが、二人はそれぞれ同じ着物を着ています。実はどちらも同じ人物。こういった描き方を異時同図法といい、同じ画面に同一人物を描くことで、その間の時間的流れを表現しています。これは右から左に読み進める、絵巻特有の表現です。
また、部屋の内部の描写や、そこに描かれる襖絵にも目を向けてみてください。定規で引いたような線、襖に描かれた浜辺に松や千鳥など、細部までしっかりと描きこまれています。こうした表現からこの絵巻は、鎌倉時代の一級の絵師が書いたと考えられます。部屋の様子から当時の貴族の邸宅がどんな様子だったのか分かるという意味でも貴重な作品です。
酒呑童子絵の主人公源頼光と、四天王の一人渡辺綱が、京都洛北に住まう土蜘蛛を退治する物語です。土蜘蛛退治物の物語は、『平家物語』や能「土蜘蛛」などでも取り上げられ、後世では浄瑠璃や歌舞伎のテーマにもなっています。土蜘蛛は妖怪退治の代表的な存在でした。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20