解説
扇面に法華経を写した装飾経。表紙には法華経を守護する十羅刹女*じゅうらせつにょ*が、文字の下には経典の内容とは結びつかない、貴族や庶民の営みが濃彩のやまと絵で描かれている。宮廷周辺の女性の発願により制作されたと考えられ、もとは大阪・四天王寺*してんのうじ*に伝来した。
扇形の紙を冊子に仕立て、法華経8巻などを書写した、とても珍しいかたちのお経で、大阪の四天王寺に伝来した10帖のうちの1帖です。
平安時代、貴族たちの間で、美しい装飾を施した料紙に法華経を書写し、さまざまに趣向を凝らしたいわゆる「装飾経」が盛んにつくられました。この冊子もその一つです。
上質の鳥の子紙にきらきら光る雲母(きら)の粉を地塗りして、金銀の箔を細かく切ったものを散らし、その上に筆や木版を用いて下絵を描き、赤や黄など暖かな色で彩色しています。絵柄を透かして金銀がきらめく、明るく華やかな装飾経です。
それぞれの帖の表紙には、法華経を守護する10人の神、十羅刹女(じゅうらせつにょ)が、平安貴族女性の姿で描かれています。扇面には、貴族や庶民の暮らしのさまざまなシーンが描かれています。
おおらかでいきいきとした人物の表情や姿にご注目ください。当時の風俗をいまに伝える資料としても貴重な作品です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20