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短刀 銘左/筑州住 Tantō (Dagger) Inscription: “Sa / Chikushū jūタントウ メイサ チクシュウジュウ

解説

 この短刀の作者である左文字は、「左」の一文字を茎(なかご)に刻むため左文字と呼ばれ、九州を代表する名工である。この奇妙な名乗りは一説に左衛門三郎の頭文字とされ、古くは正宗の弟子の筆頭格として考えられていた。九州各地では、平安時代から多くの刀工が活動していたが、筑前国にも良西、西蓮、実阿と続く刀工流派が存在し、左文字は実阿の子にあたる。左文字は、実阿以前の九州刀工に見られる古典的な侘びた風情の地鉄から一転し、非常に緻密で明るく、冴えて洗練された作風を開拓した。
 本品は地錵(じにえ)が厚くつき、微細な地景(ちけい)が入った精緻な地鉄に匂口(においぐち)の深い湾(のたれ)と、互の目の交じった刃文を焼く。全体的な姿形は鎌倉時代の古様さを遺した上品なもので、従来までの北部九州の鍛冶の作品とは一線を画す。左文字を代表する一口で、このような垢抜けた作行が、左文字を正宗の弟子と捉えるようになった一因である。

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2026/09/14