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解説

 アイヌは身のまわりにある自然から得られた様々な素材を巧みに利用し、日々の生活に用いていました。例えば美しい刺繍のパッチワークが施された樹皮製の衣服「アットゥシ」や、見事な彫刻が施されたた木製のお盆は、その代表です。
 アイヌはそのほかにも、ガラスや金属など、自分たちでは作らなかった素材や製品を、周辺民族や和人(わじん)との交易によって手に入れていました。アイヌ自らが作った道具と共に、ガラスや金属で作られた道具を、自分たちの暮らしに役立てていたのです。
 この作品は、アイヌが和人から手に入れたもののひとつで、本州で用いられた、兜の前に立てる飾りである「鍬形」(くわがた)を模したものです。全体を鉄で作り、銀の金具で装飾を施しています。こうした鍬形は、アイヌ語では「ぺラウシトムカムイ」つまり「箆(へら)をお持ちになっている宝の神さま」、あるいは「キラウシトミカムイ」つまり「角(つの)をお持ちになっている宝の神さま」とも呼ばれています。病人の枕元におくことで病気を治し、災いを払うなどの霊力をもつ宝物として用いられました。
 アイヌの宝物の中でも特に重要とされた鍬形は、集落の有力者が用いるものとされていました。家に置いておくと祟(たた)りをもたらすため、普段は山の洞窟に隠しておかれたり、地中深くに埋められたりしました。そのため、伝世品として現在に受け継がれている例はなく、現在知られているものは全て、偶然に発見されたものです。この作品も大正5年1916年に、北海道栗山町(くりやまちょう)の畑地の開墾中に、重なって発見された7点の鍬形の一つです。

メタデータ

教育

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収録されているデータベース

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2026/03/16