解説
豪華な装いの若い娘と侍女。生彩な目、精緻な髪、眉、着物の文様の入念な描写がすばらしい。右袖前に舞い落ちる一片@ひとひら@の花びら。右下に蝶3匹を舞わせ、気品と動感を生んでいる。匂うような美の表現で、円山応挙門下の鬼才、芦雪の数少ない日本美人画の優品だ。
しだれ桜の下に、若い娘とおつきの女性が佇んでいます。娘は軽く広げた右手を桜に向かって差し出し、舞い落ちる花びらを手のひらに受けようとしているかのようです。目もとや髪の生え際、ふっくらとした唇、着物の模様などが、繊細に描写されています。娘は、紫の紋付振袖に、青海波模様が絞りで表わされた紅い襦袢。雲と龍の模様の帯を締め、武家ふうの格式の高い装いです。画面の上のほう、枝の間にはらはらと散る花びらは、娘の袖や裾のあたりにも届いています。そのまま目線を裾から右にずらすと、足元には3匹の蝶が飛んでいます。中国・唐時代の美人「楚蓮香(それんこう)」は外に出ると、その香りに蝶が誘われ、まわりを舞ったと言われます。この作品は、美しい娘を楚蓮香に見立てたものでしょう。
作者の長沢芦雪は、円山応挙の門下でも異彩を放つ画家でした。上から下へと目線を移すにしたがってさまざまな発見のある、着想ゆたかな作品です。
収録されているデータベース
ColBase
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最終更新日
2026/03/16