解説
今から3000年以上も昔の殷(いん)時代には、儀礼に用いるための青銅容器がさかんに作られました。この作品もそのひとつ。儀礼の際にお酒などをいれるための容器です。本来は黄金色に輝いていましたが、いまは全体が錆に覆われて緑色を呈しています。
表面には大きな瞳と巻き角をもつ、体のない怪獣があらわされています。これは饕餮(とうてつ)と呼ばれ、当時あがめられた神のすがたと考えられています。蓋にも同様の饕餮があしらわれています。上から覗き込むことを想定したのでしょうか。上下が逆さにあらわされています。蓋のつまみはとぐろを巻いた蛇のようですが、頭には2本の角があり、龍の一種と考えられます。龍は、饕餮のまわりにも付き従うようにあらわされています。それらが見事にうつわ全体にめぐらされ、ひとつの世界観を構築しているのです。
器物の目立つ位置に、牙をむき出しにした獣面—饕餮【とうてつ】—を表現するのが殷時代の青銅祭器の特徴です。この瓿【ほう】と呼ぶ容器は酒や水をためるためのものです。重要な儀礼に用いるのにふさわしく、重厚で堂々としたたたずまいをみせています。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/10/19