解説
今から3000年以上も昔の殷(いん)時代には、儀礼に用いるための青銅容器がさかんに作られました。この作品もそのひとつ。儀礼の際にお酒などをいれるための容器です。本来は黄金色に輝いていましたが、いまは全体が錆に覆われて緑色を呈しています。
表面には大きな瞳と巻き角をもつ、体のない怪獣があらわされています。これは饕餮(とうてつ)と呼ばれ、当時あがめられた神のすがたと考えられています。蓋にも同様の饕餮があしらわれています。上から覗き込むことを想定したのでしょうか。上下が逆さにあらわされています。蓋のつまみはとぐろを巻いた蛇のようですが、頭には2本の角があり、龍の一種と考えられます。龍は、饕餮のまわりにも付き従うようにあらわされています。それらが見事にうつわ全体にめぐらされ、ひとつの世界観を構築しているのです。
丸々とした胴部をもつ広口の容器を瓿【ほう】と呼びます。儀式の際に酒や水を蓄える用途であったと推察されますが、大量の銅斧を収めていた例もあります。堂々とした風格とメリハリを利かせた構図は同様の器種の中でも出色の出来映えです。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/03/16