解説
お経が納められていた竹製の厨子(ずし)です。奈良・法隆寺に伝わる古い記録『法隆寺東院資財帳』にはこの厨子について、中国唐時代の高僧、慈恩大師(じおんだいし)の記した法華経の注釈書など、20巻の書物が納められていたことが記されています。またこの厨子は聖徳太子一族の住まいの跡に夢殿を中心とする東院伽藍(とういんがらん)を建立した行信僧都(ぎょうしんそうず)が、聖徳太子のさまざまな遺品とともに奉納したものです。
厨子の正面には両開きの扉が付き、中に二段の棚が設けられています。表面は斑(まだら)な模様のある細い竹ですきまなく覆われ、同じく竹の横材でこれを押さえた上に花のような形をした鉄の鋲(びょう)を打ち付けています。葦のように細い竹は、中国南部に自生する篠竹(すずたけ)の一種と見られます。また屋根の部分は四方から寄棟風(よせむねふう)に合わせ、上部を平らに仕立てています。竹の素材感を生かしつつ、その組み方や鋲の連なりによって装飾性が生まれ、貴重なお経を納めるのにふさわしい品格を備えています。
正面に観音開きの扉をつけた箱形の厨子です。内部には棚板を2枚設けています。天面や側面・背面・扉には、スズタケを隙間なく並べ、鉄製の飾鋲(かざりびょう)を打った桟で留めています。天平宝字5年(761)成立の『法隆寺東院縁起資財帳(ほうりゅうじとういんえんぎしざいちょう)』に記載のある2つの竹厨子のどちらかに相当し、経典を納めていたと考えられます。また、同書には法隆寺の東院伽藍(がらん)の復興に尽力した行信(ぎょうしん)の施入と伝えられており、行信の活躍した8世紀前半の製作と推定できる貴重な作例です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/07/20