解説
水滴と匙、墨をのせる台からなる日本最古の文房具。匙で水をすくう水入れを水盂という。水滴は銅板を袋状に打出して作り、3方に楕円形の区画を設け、鳳凰と唐花文を線彫で表わす。聖徳太子が法華義疏を撰したときに使用したとの伝承がある。
聖徳太子の文房具として伝えられた作品です。これらの品は、太子がわが国ではじめて法華経など仏教の経典の解説書を書いた時に使われたとされています。
墨台(ぼくだい)は墨を置く台。中央に大きな六弁の花を、いまは一つ欠けていますが、周囲に6個の花が表わされています。また軸の部分や台座にも草花が刻まれており、さらにその輪郭や葉脈がごく細い鏨(たがね)の線で刻まれています。
墨をするための水を入れる水滴(すいてき)は柿の実のような形をしており、三方を楕円形に区切って、翼を広げた鳳凰(ほうおう)と草花が彫り表わされています。底には3つの脚が付き、小さいながらもどっしりとした造形です。蓋は周囲が反りあがった形で、宝珠(ほうじゅ)という玉の形をしたつまみを中心に、四方には花が刻まれています。
3本の匙(さじ)はそれぞれ、蓮の花びら、ひょうたん、柳の葉の形で、丸く作った柄は微妙な曲線を描いています。
もともとこのようなセットであった確証はなく、実は、ほんとうに墨台や水滴などの文房具として制作されたかも明らかではありませんが、奈良時代の見事な金工技術が発揮された名品です。
収録されているデータベース
ColBase
ColBase: 国立文化財機構所蔵品統合検索システムは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と一つの研究所(奈良文化財研究所)の所蔵品を、横断的に検索できるサービスです。
最終更新日
2026/05/25