解説
黒い革張で横開きになったものの見返しの遊びに、Adressbuch(アドレス帳)とドイツ語で書かれ、その後はHisakazu Wada (“Soganoya Goro”—Stage Name) / Member of Japanese Comic Actors Society, Osaka, Japan)と続く白い紙が上下逆さまに貼り付けられている。最初の頁には「欧州巡遊記念 落書證」とあり、次頁からは大正3年(1914)6月に出国し、朝鮮半島からシベリア鉄道を経由してドイツやイギリスに滞在したときに知己となった人々が25頁にわたって名前と住所を書いている。さらに一言二言書き添える人も、無署名で見開き2頁に及ぶ文を書き連ねている人もいる。有名無名を問わないが、のちにドイツ演劇研究の大家となる新関良三の名前もある。その後、空白の1頁を挟んで昭和21年(1946)の日記になる。