解説
観音開きの扉、内部に4段のひきだしを設けた蒔絵の箪笥。扉の中央部に入念な毛彫りを施した錠金具をつけ、両脇に12枚の装飾的な蝶番をつけています。蝶番には、一部ヨーロッパ製の候補が付けられています。花綱のあるバロック様式の彫刻を施した、やや魁偉な脚部は、おそらくはオランダで18世紀にあつらえられたもので、もとは黒塗り、さらに後代、その上に金を塗っているものと推定される。箪笥を閉じた状態の表面は、左景に豪壮な屋敷と民家、背景に岩に鳥、右景に水禽(すいきん)と秋草を金銀の高蒔絵で表現する。前景の波頭をつらねる水の表現も入念です。内部ひきだしの搭を配した山水や樹木には、朱のおきめ(下描き)が見られ、その上にかなり自由に金蒔絵を施しています。ひきだしの内面はすべて梨子地(なしじ)仕立て。黒漆の余白を空間として強調する蒔絵意匠は、1670~90年頃の輸出漆器の特徴です。オランダ商館を通じて、京都の漆器工房に注文された箪笥で、もとは一対でデンマークの城館に設置されていたものと推定されますが、伝歴は明らかではありません。 【近世・近代の漆工・陶磁器・染織】
収録されているデータベース
文化遺産オンライン
国や地方の有形・無形の文化遺産に関する情報を公開することなどを目的とした文化遺産のポータルサイト。文化庁と国立情報学研究所が、共同で運営しています。
最終更新日
2026/05/01