解説
煙0772と同一狂言の同一場を描いている。御堂の様子や人物が異なるのは、本作が舞台下手、煙0772が舞台上手を描いているからである。この年、ライバル同士の団十郎と菊五郎は三月に中村座と玉川座に分かれて助六を競演し、双方大当たりをとる。しかし、助六は市川代々の家の狂言であるから、菊五郎から団十郎へ一言挨拶があってもしかるべきなのに音沙汰がなく、両人の感情問題に発展した。七月になり、半四郎や幸四郎の肝いりで、和解が成立し、菊五郎はスケとして玉川座へ参加することになり、書き上げられたのがこの「蝶☆山崎踊」である。したがって、この狂言はいたるところに二人に過不足のないような注意が払われており、同じ舞台上で同時に同じ演技をしている場面なのである。外題の「蝶☆」にはこうした事情が利かせてある。煙0336は八月から追加された幕であるが、これも「戻駕篭」で二人の役に不足はない。この時の立作者四代目鶴屋南北の苦労がしのばれる。なお、台本にはこの場は序幕とあるが、絵本番付には二幕目とあり、南北の苦心にもかかわらず、何らかのもめ事があって、上演時には場割上での改訂があったことが、窺われる。
収録されているデータベース
ARC浮世絵ポータルデータベース
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最終更新日
202607/12/31
