解説
この作品が制作された1915年は草土社結成の年であり、彼はそれまでの後期印象派の影響を受けた画風から脱して、デューラーなど北方ルネサンスへの強い関心をうかがわせるクラシックなものへと転じた時期にあたっている。この変化は彼が行動を伴にしていた岸田劉生の制作と軌を一にしている。後年彼は「岸田劉生は草土社であるが『草土社』もその七、八分は通りは岸田劉生である」と述懐しているが、これは彼が劉生の強い影響下で制作していたことを物語っている。この作品は、女性の持っている壷に「To my Wife」という書き込みがあり、画家の妻をモデルとした作品であることがわかる。壷の質感描写をはじめとする細部の質感描写へのこだわり、雲に覆われた暗い空やどこか荒涼としたものを感じさせる草地の描写などは、彼のこの時期の制作傾向を端的に示すとともに、草土社前期の制作傾向に重なるものであることをよく物語っている。
収録されているデータベース
愛知県美術館コレクション
当館のコレクションで特に充実しているのは、国内外の20世紀美術です。世紀前半にヨーロッパで活躍したグスタフ・クリムト、パブロ・ピカソ、ピエール・ボナール、マックス・エルンストなど、戦後アメリカで活躍したモーリス・ルイス、そして欧米の美術の影響を独自に咀嚼した日本近代の画家たちから、現代の日本を代表する作家たちの作品まで、さまざまな美術動向を辿るにふさわしい優品を収集しています。 これらの作品に加え...
最終更新日
2020/07/13