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解説

荒川は、昭和14年(1939年)の第26回日本水彩画会展の出品作をはじめ、1930年代後半に「廃鉱の夏」と題した作品を数点制作しています。本作も、字は違いますが、おそらくはそのうちの1点ではないかと思われます。これらの作品の舞台となっているのは、現在の喜多方市北部にあった加納鉱山です。明治末期から大正期にかけて、大量の銀と銅を産出した鉱山でしたが、荒川が作品を手掛けた頃には、すでに掘り尽くされ、ほぼ閉山状態にありました。本作は、建物内部から戸外を臨む構図が印象的な作品です。青く澄み渡った空の下、外の景色は光に満ち、のどかで美しくすらあります。対して、外が明るければ明るいほど強調される、手前の暗がり。画面左端に見える大きな車輪は、人や採掘した鉱石を地上に運ぶ際に活躍したケージ用の巻揚機でしょうか。かつては鉱夫や技師たちが行き交い、ケージもせわしく稼働していたのでしょうが、画中の巻揚機が動いている気配はなく、何もかもが静寂の中にあります。よく見ると、画面中央に何かの作業に勤しむ一人の人物の姿が認められますが、活気があるようには見えません。明と暗、光と影の見事なコントラストが、一時代を築いたこともある鉱山の栄枯盛衰を、さらには人の世の無常さまでをも、見る者に伝えています。

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2026/07/20