解説
おめかしをして集まったバースデー・パーティーの席上。大きな丸いテーブルの中央に置かれたケーキを子どもたちが囲んでいる。画面中央に座る、頭に花飾りをつけた今日の主役は、このもどかしい時を仕切る特権を与えられているのだが、無表情なまま祈るようなポーズをとり、じっとしている。彼女の誕生日を祝うために集まった10人の子どもたちは、落ち着かない様子だ。なかにはコーヒーをこぼして慌てている少女もおり、喧しくまとまらない雰囲気をよりいっそう強めている。一方、窓の外に目をやると、パーティーに参加できず室内を覗く子どもたちが6人、小さな頭を並べている。このパーティーに呼ばれなかった子どもなのか、お腹をすかせた孤児たちなのかは判然としないが、この窓外の子どもたちと、ご馳走を給仕するメイドの少女の存在は、子どもたちの間にも貧富の差があることを暗示している。そして観る者は、フジタの視線がそのどちらにも平等に注がれていることを知るのである。 また、テーブルの上の花は、フジタが好んで集めたといわれるデルフト焼の花器に生けられており、翌年に制作された《薔薇》(1959年、個人蔵)にも同じ絵柄の花器が描かれている。
収録されているデータベース
ポーラ美術館コレクション
ポーラ美術館は、2002年に神奈川県箱根町に開館いたしました。ポーラ美術館のコレクションは、ポーラ創業家2代目の鈴木常司が40数年間にわたり収集したもので、西洋絵画、日本の洋画、日本画、版画、東洋陶磁、ガラス工芸、古今東西の化粧道具など総数1万点にのぼります。
最終更新日
2023/03/28