解説
ルドンは、ギリシア神話で語られている通り、女神ヴィーナスが成熟した大人の女性として、海の泡より誕生した様子を描いている。ボッティチェッリの≪ヴィーナスの誕生≫(1485年頃、ウフィッツィ美術館蔵)のように、女神ヴィーナスは、貝殻の上に立っておらず、霊的情熱の象徴であるゼフュロス(西風)に乗って、岸へと吹き寄せられているわけでもない。ルドンが描くヴィーナスは貝殻の小舟に乗って、水中のような不思議な空間を漂っている。その周りには石版画集『アントワーヌの誘惑』に登場する軟体動物を想起させる、原始的な細胞にも似た奇妙な生物が浮遊している。ルドンの想像力は、生命の起源である海の生物にも向けられている。(『モネと画家たちの旅』図録、2007)
収録されているデータベース
ポーラ美術館コレクション
ポーラ美術館は、2002年に神奈川県箱根町に開館いたしました。ポーラ美術館のコレクションは、ポーラ創業家2代目の鈴木常司が40数年間にわたり収集したもので、西洋絵画、日本の洋画、日本画、版画、東洋陶磁、ガラス工芸、古今東西の化粧道具など総数1万点にのぼります。
最終更新日
2023/03/28