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富嶽三十六景 凱風快晴 / 慶應義塾図書館

富士山

古代より人々に讃仰されてきた日本の最高峰


静岡県と山梨県の県境にまたがる成層火山。標高3776メートルの活火山で、日本最高峰。低地からそびえているため山体そのものが高く、基底は直径35~40キロメートルに達する。南東斜面には宝永4年(1707)に爆発的噴火で形成された宝永山の爆裂火口があり、山容に変化を与えている。山体は玄武岩質の溶岩流と火山灰、火山砂礫からなるが、溶岩は流動性に富んでおり、北西側の青木ヶ原のような広い溶岩原、さらに富士五湖のようなせき止め湖、西湖蝙蝠穴(さいここうもりあな)や鳴沢氷穴(なるさわひょうけつ)などの溶岩洞窟が形成されている。富士山の火山活動は、約1万年前から約5000年前までの活動静穏期を境に古期と新期に分けられる。古期は少なくとも7万年活動を繰り返し、古富士山とよばれる標高3000メートルを超える火山を形成した。歴史時代の火山活動は、天応元年(781)から宝永4年まで十数回の記録があり、そのうち延暦19年(800)、貞観6年(864)、宝永4年の三大噴火が有名だが、宝永4年以後は目立った活動は知られていない。現在の富士山はすでに開析期に入っており、山腹を放射谷が刻み始め、そのうち西斜面の大沢は最も大きく、その谷頭には長さ約11キロメートル、最大幅500メートルの「大沢崩れ」の崩壊地がある。

山部赤人(やまべのあかひと)は『万葉集』に「天地(あめつち)の 分れし時ゆ 神(かむ)さひて 高く貴き」と霊峰富士の神々しさを詠い、12世紀半ばに東国へ下った西行は『山家集(さんかしゅう)』に「風になびく富士の煙の空にきえて 行方も知らぬ我が思ひかな」という歌を残している。また、中世には東海道を往来した人々が詩文や紀行文などに富士を綴った。富士は信仰の対象ともされ、聖徳太子や役行者(えんのぎょうじゃ)の登拝の伝承もあるが、中世から富士山を崇敬する風潮が東日本に広まったという。江戸時代になって富士行者や御師(おし)に引率された信者組織の富士講が各地に形成され、富士登山が盛行した。その中心となったのは、山麓に位置する駿河国(するがのくに)(現在の静岡県)の大宮、村山(村山修験として知られる)、須走(すばしり)、甲斐国(かいのくに)(現在の山梨県)の吉田などの浅間(せんげん)神社であった。近世後期には池大雅(いけのたいが)・与謝蕪村(よさぶそん)による南画、葛飾北斎・歌川広重らの浮世絵に描かれたことでも知られる。

現在の登山口は御殿場口、須走口、富士宮口(ふじのみやぐち)、吉田口などで、2~5合目までバスが通じ、河口湖からは5合目までスバルラインが開通している。山頂には気象観測所や静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)の奥宮(おくみや)がある。山体全域が国の特別名勝および史跡に指定されており、富士箱根伊豆国立公園に属している。平成25年(2013)には「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として世界文化遺産に登録された。登山道を除く8合目より上は富士山本宮浅間大社の私有地で、県境および市町村境は未確定である。


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  • 静岡県富士宮市に所在。世界遺産を保護する拠点施設で、学術調査機能などを併せもっています。

  • 山梨県南都留郡富士河口湖町に所在。HPでは企画展やイベントの情報、お楽しみコンテンツなどが紹介されています。

  • 静岡県裾野市に所在。富士山の成り立ち、歴史、動植物、それにまつわる人々の生活などの資料を展示しています。

  • 山梨県南都留郡鳴沢村に所在。博物館、ショッピングモール、カフェ、多目的ホールなどさまざまな施設をもっています。

  • 静岡県が運営する富士山をガイドするためのサイト。

  • 山梨県ホームページより。「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」「富士登山に挑戦!」「富士山のすがた」などのコーナーで構成されている。

  • 山梨日日新聞社が運営する富士山をガイドするためのサイト。

  • 「富士山における適正利用推進協議会」(事務局:環境省富士箱根伊豆国立公園管理事務所、山梨県、静岡県)が管理、運営するサイト。

  • 富士山を対象とした錦絵(浮世絵)が網羅されている。

  • 長野県・山梨県を含む関東地方の富士見百景で、各地を紹介するガイドブックにもなっている。

  • 国土地理院ホームページから「地図・空中写真・地理調査」→「主題図(地理調査)」→「地形がわかりやすい地図」の中で、富士山を素材として、アナグリフ(色メガネを使用した立体的地図)や陰影起伏図、傾斜量図などを紹介している。

  • 静岡県公式ホームページ「ふじのくに」より。清水港、富士宮、御殿場の三ヶ所に設置されたカメラが中心だが、伊豆や駿河のそのほかの地点からの映像にもリンクしている。

参考文献

  1. サンプルページ「富士山」の項
  2. 「富士山」の項
  3. 「富士山」の項
  4. サンプルページ「富士山」の項
  5. 歴史学研究会 編,岩波書店