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牡丹

花の王――古くから数多くの品種群をもつアジアの代表的な名花

ボタン科の落葉低木。中国原産で、古く日本に渡来し観賞用として植栽され、花の王とよ呼ばれる。牡丹は漢名で、「ぼうた」「ぼうたん」のほか、二十日草(はつかぐさ)、深見草(ふかみぐさ)、名取草(なとりぐさ)、山橘(やまたちばな)などの異称がある。高さ1~3mほど、葉は大きく、春に径20cmほどの大形の花をつける。花は半八重咲き、万重咲き、獅子咲き、二段咲きなどがあり、その色も紅、紅紫、黒紫、桃、黄色、白色など変化に富む。寒牡丹は春の蕾を除き、夏に葉を切り取り、第2の蕾を育て、晩秋から冬に開く花を愛でる。根皮(牡丹皮)は強い臭いをもつが、頭痛、関節炎、リウマチ、打撲症、婦人病などの薬として用いられる。

平安時代には栽培されていたといわれ、藤原道綱母は山寺で「牡丹草どもいと情けなげにて花散りはてて立てる<牡丹がなんの風情もなく花びらを散らして立っている>」様子を見ている(『蜻蛉日記』)。『枕草子』には「台の前に植ゑられたりける牡丹などのをかしきこと<台の上に植えれらた牡丹などのおもしろいこと>」とあり、前栽(せんざい)の花卉として植えられていたようだ。鎌倉時代・室町時代には寺院や庭園などに広く植えられ、江戸時代の元禄・宝永の頃には花の観賞が盛んとなり、与謝蕪村が「牡丹散りて打ちかさなりぬ二三片<牡丹が散って花びらが二、三片重なっている>」と詠んでいる。紋所としては五摂家筆頭の近衛家の紋であったことから菊、桐、葵の紋に次いで権威があり、島津、伊達、津軽などの諸大名家が用いた。この近衛牡丹や津軽牡丹のほか、裏牡丹、杏葉牡丹などがある。よい組み合わせとされる唐獅子牡丹、幕末の怪談『牡丹灯籠』などもおなじみのもの。

江戸時代には白牡丹179品種、紅牡丹160品種、筑前牡丹138品種を数えたという(『花壇地錦抄』)。現在では新潟県・島根県などが主産地で、名所は宮城県岩沼市の金蛇水(かなへびすい)神社、福島県の須賀川牡丹園、埼玉県東松山市の箭弓稲荷神社(やきゅういなり)、静岡県袋井市の可睡斎(かすいさい)、奈良県桜井市の長谷(はせ)寺、葛城(かつらぎ)市の當麻(たいま)寺・石光(せっこう)寺など数多い。

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  • 協会会員の全国の牡丹園を検索することができる。(種類、株数、ホームページなどを掲載)

  • 290種7,000株の牡丹が植えられている牡丹園。

  • 550種1万株の牡丹や250種5万株のシャクヤクをはじめとした花々を観賞できる世界最大級の牡丹庭園。

  • 上野公園内。約250種3,200株の牡丹が咲く。4月中旬からは「春のぼたん祭り」、1月からは「冬のぼた祭り」を開催。

  • 毎年4月中旬から5月上旬にかけて、3,000坪の敷地内に約150種2,000株の色とりどりの牡丹が咲く。

  • 約3500㎡の園内に1300余株の牡丹が咲く。毎年4月中旬頃より、つつじや藤の花と合わせて牡丹を楽しむことができる。

  • 毎年4月中旬から5月上旬にかけて、境内の全山に150種7,000株が咲く。また、12月下旬から1月下旬には、藁の霜囲いをした冬の牡丹と寒牡丹が楽しめる。

  • さまざまな種類の牡丹を写真入りで紹介する。原種と、これまで開発・作出された既品種に大別され、既品種は日本系、アメリカ系、フランス系、中国系で分類されている。

  • 植物、花の基本情報、育て方などを「趣味の園芸」講師陣が執筆する。園芸相談Q&Aや特集コーナーがある。

参考文献

  1. 「ボタン」の項
  2. 「ボタン」の項
  3. 日立デジタル平凡社,平凡社
  4. 「牡丹」の項