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源氏絵2 「野分」から「夢浮橋」まで
平安時代から描き続けられた『源氏物語』の絵画作品。第二十八帖「野分」から第五十四帖「夢浮橋」まで。
源氏絵とは『源氏物語』を題材にした絵画作品。物語が成立してから間もなく、絵画作品も手掛けられたとされ、最古の遺品は平安時代末期に制作された、『源氏物語絵巻』(国宝)である。絵巻や画帖、屛風、扇面、さらには染織や工芸作品に源氏絵は描かれ、江戸時代には浮世絵作品の題材としても多く採用された。
ここでは、『源氏物語』の第二十八帖「野分(のわき)」から第五十四帖「夢浮橋(ゆめのうきはし)」までの源氏絵を紹介する。
【第二十八帖 「野分(のわき)」】 江戸時代前期の土佐派の作品と推定される。秋好中宮の女童が虫かごにつゆを含ませる場面を描く。
【第二十九帖 「行幸(みゆき)」】江戸時代前期の絵師・住吉具慶による絵巻作品。大原野に行幸した冷泉帝から光源氏への贈り物を届けた場面を描く。
【第三十帖 「藤袴(ふじばかま)」】室町時代後期の絵師・土佐光元が手がけたと伝わる画帖。夕霧が玉鬘に、藤袴の花によせて思慕を伝えた場面を描く。
【第三十一帖 「真木柱(まきばしら)」】浮世絵師・歌川国貞(豊国)が描く源氏絵。父・鬚黒との別れを惜しんだ姫君・真木柱が、詠んだ歌を柱に差し込む場面を描く。
【第三十二帖 「梅枝(うめがえ)」】室町から安土桃山時代にかけて活躍した絵師・土佐光吉による画帖。光源氏から贈られた紺瑠璃・白瑠璃の香壺と直衣(のうし)とともに蛍兵部卿宮が六条院から退出する場面を描く。
【第三十三帖 「藤裏葉(ふじのうらば)」】作者不明。四季・賀・祝の各部ごとに『源氏物語』からそれにふさわしい場面を絵と和歌で描出した巻子本。内大臣邸で催された藤の宴の場面を描く。
【第三十四帖 「若菜上」】室町から安土桃山時代にかけて活躍した絵師・土佐光吉による画帖。蹴鞠に興じる柏木が、女三宮を垣間見る場面を描く。
【第三十五帖 「若菜下」】作者不明。『源氏物語』の複数の場面を描いた屏風。若菜下にあたる部分では、六条院で催された女楽の場面を描く。
【第三十六帖 「柏木」】平安時代につくられた「源氏物語絵巻」(国宝)の写本。夕霧が柏木を見舞った場面を描く。
【第三十七帖 「横笛」】浮世絵師・歌川国貞(豊国)が描く源氏絵。光源氏と薫が対面した場面を描く。
【第三十八帖 「鈴虫」】室町から安土桃山時代にかけて活躍した絵師・土佐光吉による画帖。光源氏と女三の宮が歌を交わす場面を描く。
【第三十九帖 「夕霧」】作者不明。江戸時代前期の作品と推定されるもので、複数の場面を描いた屏風作品。夕霧が落葉の宮の小野山荘に訪れた場面を描く。
【第四十帖 「御法(みのり)」】室町から安土桃山時代にかけて活躍した絵師・土佐光吉による画帖。光源氏と紫の上が陵王の舞を見る場面を描く。
【第四十一帖 「幻」】『源氏物語』の複数の場面をおさめた屏風作品で、江戸時代前期に岩佐又兵衛の工房でつくられたと推定される。久しぶりに姿を現した光源氏が導師と歌を詠み交わす場面を描く。
【第四十二帖 「匂兵部卿(におうひょうぶきょう)」】室町から安土桃山時代にかけて活躍した絵師・土佐光吉による画帖。六条院で催された宴に向かう親王や貴族の牛車の列を描く。
【第四十三帖 「紅梅」】浮世絵師・歌川国貞(豊国)が描く源氏絵。紅梅大納言が匂宮への文を若君に託す場面を描く。
【第四十四帖 「竹河」】平安時代につくられた「源氏物語絵巻」をまとめた書籍。玉鬘の娘の大君と中の君が碁を打つところを、蔵人少将が垣間見る場面を描く。
【第四十五帖 「橋姫」】桃山~江戸時代初期の絵師・俵屋宗達が手がけたと伝わる作品。薫が大君と中の君を垣間見る場面を描く。
【第四十六帖 「椎本(しいがもと)」】室町時代後期の絵師・土佐光元が手がけたと伝わる画帖。八の宮の山荘に招かれた薫たちが管弦の遊びを行う場面。
【第四十七帖 「総角(あげまき)」】室町から安土桃山時代にかけて活躍した絵師・土佐光吉による画帖。匂宮と中の君が夜明けに宇治川を見つめる場面を描く。
【第四十八帖 「早蕨(さわらび)」】明治から大正にかけて活躍した尾形月耕が手がけた源氏絵。蕨や土筆とともに届いた山の阿闍梨からの手紙を、中の君が読む場面を描く。
【第四十九帖「宿木(やどりぎ)」】『源氏物語』の複数の場面をおさめた屏風作品で、江戸時代前期に岩佐又兵衛の工房でつくられたと推定される。碁の勝負の褒美として、薫が今上帝から菊一枝を取らされる場面を描く。
【第五十帖 「東屋」】平安時代につくられた「源氏物語絵巻」(国宝)の写本。夕霧が柏木を見舞った場面を描く。中の君が浮舟に物語絵を見せる場面を描く。
【第五十一帖 「浮舟」】浮世絵師の歌川豊国が描いた源氏絵で三枚続き。匂宮と浮舟が小舟に乗り宇治川を渡る場面を描く。
【第五十二帖「蜻蛉(かげろう)」】『源氏物語』各帖の抜き書きを記した公家の色紙と、その場面の絵を貼り付けた屏風。江戸時代前期の絵師、土佐光則が手がけたものと考えられる。薫が六条院で明石の中宮の女房と語る場面が描かれる。
【第五十三帖「手習(てならい)」】安土桃山時代~江戸時代の絵師土佐光吉による、『源氏物語』の複数の場面を描いた屏風作品。下仕えの女たちが門田の稲を刈る様子を浮舟が眺める場面を描く。
【第五十四帖「夢浮橋(ゆめのうきはし)」】浮世絵師・歌川国貞(豊国)が描く源氏絵。薫の使いとしてやってきた弟の小君と対面する浮舟と尼君を描く。
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参考文献
- 稲本万里子 著,森話社
- 稲本万里子, 木村朗子, 龍澤彩 執筆,田口榮一 監修,東京美術
- 学習研究社
