
日本固有の方法で製作された刀剣。太刀、打刀、脇差、短刀などを指すが、広義には薙刀・槍など刀鍛冶によって製作されたものすべてを含める。
軟らかい鉄(心鉄)を芯として、硬い鋼(皮鉄)で包む独特の鍛造法が用いられ、機能性、美術性ともに優れたものが多い。
慶長(1596~1615)の初め頃までのものを古刀、それ以後のものを新刀と呼ぶ。
関連するひと・もの・こと
古代末期の全国的規模の内乱。源平合戦の主要な武器は、日本刀であった。
仇討で名高い鎌倉時代初期の武士。兄弟による仇討の際にも、日本刀が使用された。
紅葉(こうよう)を鑑賞する意で、能の曲目などとしても有名。謡曲「紅葉狩」で、鬼神を退治した平惟茂が用いた刀は、有名な「小烏丸」であるとの説がある。
本で知る
刀剣書
写
現存する我が国最古の刀剣書。内容は鎌倉時代に成立したものとみられるが、本書は室町時代(応永30年、1423年)の転写本である。古今諸国鍛冶之銘、銘尽、時代別及び国別の分類がまとめられている。重要文化財。
羽皐隠史 著,金港堂書籍
本阿弥家による刀剣目録『享保名物帳(古くは単に『名物帳』などと呼ばれる)』のバリエーションの一つ(翻刻)。
羽皐隠史 著,嵩山房
同、増補版。
松平定信 編,刊
徳川吉宗の孫である松平定信が自ら編纂した模写図録集。合計127振の刀剣を収録している。図は、伊勢貞丈家小烏丸太刀図の頁。
黒庵 [著]
黒庵による刀剣伝書。
徳川宗敬氏寄贈,東京国立博物館
初版は寛政9年(1797年)に刊行。名刀・古刀・新刀を、刃の愚鈍、すなわち斬れ味でランキングしたもの。内容は業物類を中心とする。
須原屋佐助[ほか3名]
『懐宝剣尺』の作者が、後年発行した書物。刀工の人名辞典、押形(刀剣の茎を紙に写し取った拓本)、業物表などを内容に含む。
『古刀銘鑑』の異本。図は、備前長船派の系譜の頁。
写
新刀(慶長年間以降に作られた刀)についてまとめた刀剣伝書。
木原盾臣 編
江戸時代の有職家、国文学者である木原盾臣が古兵器についてまとめた書物のうち、刀剣の部。図版多。
刀剣にまつわる物語
能『小鍛冶』は、平安時代の刀鍛冶 三条宗近が、一条天皇の命により、稲荷明神の力を借りて刀を打つ様子を題材にしている。打ちあがった刀は、表に「小鍛冶宗近」、裏に「小狐」の名を打たれ、小狐丸と名付けられる。
芳年,佐々木豊吉
謡曲『土蜘蛛』の題材となった、源頼光による土蜘蛛退治の場面を描いた錦絵。源頼光が佩く刀は、源氏の名宝「薄緑(別名に、膝丸、雲切、吼丸とも)」と言われる。
謡曲『紅葉狩』は、平安中期の武将・平惟茂(たいらのこれもち)が、戸隠山の鬼女 紅葉を討ち取ったという伝説を題材としている。このとき平惟茂が用いた刀が「小烏丸」であるとする説がある(諸説あり)。
「享保名物帳」によると、源頼光が丹波大江山の山賊・酒呑童子を斬った際、用いた刀が、それにちなんで「童子切」と呼ばれるようになったという。図は、酒呑童子の首が頼光の兜に噛みついている様子。
謡曲『橋弁慶』より、弁慶と牛若丸(源義経)の五条大橋での邂逅を描いた場面。弁慶は大長刀を携えている。
高木秀太郎 著,関西写真製版印刷
鎌倉時代の刀派「粟田口」を題材とする狂言。粟田口が刀の銘である知らない大名と従者が、粟田口と自称する男に翻弄される筋書きで、粟田口という刀派が広く知られていたことが伺える。
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太刀
三条宗近,渡辺誠一郎氏寄贈,東京国立博物館
国宝。平安時代、能『小鍛冶』でも知られる刀鍛冶・三条宗近の作刀。三日月という異名は、刃紋の下半分(刃縁、はぶち)に沿って随所にみられる焼き刃の模様(打(うち)のけ)が三日月型であることに由来する。
伯耆安綱,By Yasutsuna,東京国立博物館,Tokyo National Museum
国宝。平安時代、大原安綱(本名・横瀬三郎太夫)作の太刀。名の由来は、清和源氏の嫡流である源頼光がこの刀で酒呑童子(しゅてんどうじ)の首を斬ったとされることによる。
古備前包平,By Kanehira,東京国立博物館,Tokyo National Museum
国宝。平安時代、備前包平(びぜんかねひら)の作刀で、池田家に伝来する太刀。華やかな刃紋が特徴で、身幅が広く力強いと評される。
東京国立博物館
重要文化財。平安時代の作。鵺(ぬえ)退治の褒美として、帝より源頼政(源三位入道)に下賜された太刀とされる(『源平盛衰記』)。
福岡一文字吉房,東京国立博物館
国宝。号の由来は、織田信長の子・織田信雄が、家臣である岡田重孝(おかだしげたか)の内通を疑い、手打ちにしたときに用いられたことによる。
福岡一文字派(刀身),東京国立博物館,Tokyo National Museum
鎌倉時代、一文字派の作。外装である群鳥文兵庫鎖太刀拵は国宝指定。
長船長光,By Nagamitsu,東京国立博物館,Tokyo National Museum
<p> 日本刀の鑑賞で、黒くみえる部分と白くみえる部分の境にみえる光輝く模様はとても大切です。この模様のことを「刃文(はもん)」といいます。この太刀の刃文はでこぼことした模様で、さまざまなかたちが入り乱れて賑やかな印象を与えます。特にこの太刀では丁子の木の実のような「丁子刃(ちょうじば)」と、半円の形をした「互の目刃(ぐのめば)」という刃文が複雑に交じり合っているのが特徴です。作者の長光は、13世紀に岡山県東南部の長船という地にいた刀工で、長光をはじめとした長船派(おさふねは)と呼ばれる一派は16世紀まで日本最大の刀剣の流派として栄えました。この太刀は長光の代表作のひとつで、室町時代にこの太刀が、貫(かん)という価値などをあらわす単位にして600貫と、大変高いものとされていたことから、全部で600巻の大般若経に結び付けて「大般若長光」と呼ばれました。もとは足利将軍家に伝えられた刀剣であったといい、やがて16世紀の著名な武将である織田信長が所持し、その後江戸幕府を開くことになる徳川家康に伝わり、家康の家来であった奥平信昌(おくだいらのぶまさ)へ贈られました。</p><br /><p>備前国(岡山県)の長船@おさふね@派を確立した名工、長光の傑作です。600貫@かん@の代付@しろつけ@(価格)から、全600巻の大般若経になぞらえて、大般若長光と名付けられ、足利将軍家、三好長慶、織田信長、徳川家康、奥平信昌らが所持しました。丁子@ちょうじ@と互@ぐ@の目@め@を交じえた華やかな刃文@はもん@が見所です。</p>
長船景光,By Kagemitsu,東京国立博物館,Tokyo National Museum
国宝。備前長船派の刀工・景光の作で、南北戦争期、後醍醐天皇を奉じて挙兵した楠木正威の太刀。元々、刀身の右側(佩表)に小竜の彫物があったが、茎(なかご)が短く刷り上げられたために、竜が柄の中に隠れてわずかに首だけを鍔から出して覗いているように見えるため、「のぞき竜景光」とも呼ばれる。
遊就館 編,遊就館
皇室御物太刀 銘国永(名物鶴丸)の写真。1940(昭和40)年の神武天皇即位紀元(皇紀)2600年記念日本刀展覧会図譜より。平安時代、三条宗近の流派を汲むとされる五条國永の作。
遊就館 編,遊就館
太刀 銘筑州住左(国宝・名物江雪左文字)の写真。1940(昭和40)年の神武天皇即位紀元(皇紀)2600年記念日本刀展覧会図譜より。
読売新聞社 編,誠文堂
紅雪左文字の写真(「日本名宝物語」より)。江雪左文字とも呼ばれる。
読売新聞社 編,誠文堂
国宝 鬼切丸(別名 鬼切安綱、髭切とも)の写真(『日本名宝物語』より)。古くは源氏の重宝として伝えられたとされる。現在は北野天満宮所蔵。
読売新聞社 編,誠文堂
鬼丸御太刀(名物鬼丸国綱)の写真(「日本名宝物語」より)。鎌倉時代、粟田口国綱の作。北条氏、足利氏、豊臣秀吉、本阿彌家などを経て、明治15年より皇室御物。
羽皐隠史 著,金港堂書籍
織田信長の愛刀として知られる、不動国行の押形(「詳註刀剣名物帳」より)
加島勲, 内田疎天 著,大阪刀剣会
堀川国広の作刀。刀身表に「天正十二年二月彼岸 日州古屋之住国廣山伏之時作之」とある。
松平定信 編,刊
名物鬼丸国綱の図(『集古十種』より)
松平定信 編,刊
蜈蚣切太刀の図(『集古十種』より)
松平定信 編,刊
小烏丸太刀の図(『集古十種』より)
松平定信 編,刊
蛍丸太刀の図(『集古十種』より)。来國俊の作。
刀
相州貞宗,By Sadamune,渡邊誠一郎氏寄贈,Gift of Mr. Watanabe Sei'ichirō,東京国立博物館,Tokyo National Museum
国宝。相州正宗の子 貞宗の作。名は茎(なかご)の指裏の先、刃寄に亀甲紋花形が毛彫りされていることに由来する。
長曽祢虎徹,By Kotetsu,東京国立博物館,Tokyo National Museum
長曾根虎徹は新刀期を代表する刀工。新選組局長・近藤勇の愛刀としても知られるが、近藤勇が所有していたものは偽物だったという説もある。
吉行,京都国立博物館 Kyoto National Museum
17世紀、陸奥国出身の吉行の作。坂本龍馬の愛刀と伝わる。
宇都野正武 編,画報社
重要文化財 革柄蝋色鞘刀(伝三池光世作)の写真(『久能山東照宮宝物改題』より)。刀身表に「妙純傳持ソハヤノツルキ」刀身裏に「ウツスナリ」と切り付ける。徳川家康の刀であったと言われる。
読売新聞社 編,誠文堂
大倶利伽羅廣光の写真(「日本名宝物語」より)。相州正宗の弟子相模国廣光の作で、長く伊達家に所有されていた。
読売新聞社 編,誠文堂
關兼定の写真(『日本名宝物語 第2集』より)。和泉守兼定の作刀。細川忠興の愛刀であり、細川忠興がこの刀で三十六人を切ったという逸話から、「歌仙斬り」の異名がある。
読売新聞社 編,誠文堂
明治42(1909)年、千代金丸(ちよかなまる)の鑑定結果を記した折紙(『日本名宝物語』より)
加島勲, 内田疎天 著,大阪刀剣会
山姥切国広の押形(『新刀押象集 上巻』より)。堀川国広の作刀で、刀身表に「九州日向住国広作」、裏に「天正十八年庚寅弐月吉日、平顕長」とある。
羽皐隠史 著,金港堂書籍
今川義元ノ左文字の押形(「詳註刀剣名物帳」より)。今川義元ノ左文字は、別名宗三左文字、三好左文字とも呼ばれる。
遊就館 編,遊就館
国宝 剣(つるぎ)銘吉光の写真。1940(昭和40)年の神武天皇即位紀元(皇紀)2600年記念日本刀展覧会図譜より。粟田口吉光の作。白山比咩神社蔵。
脇差・短刀
粟田口吉光,By Yoshimitsu,東京国立博物館,Tokyo National Museum
刃の重ねの厚さが4分(約1.1cm)もある鎧通し(よろいどおし)造の短刀で、この名がついた。
藤四郎吉光,渡辺誠一郎氏寄贈,東京国立博物館
重要文化財。短刀の名作手として知られる粟田口吉光の作。
東京国立博物館
国宝。相州行光の傑作として知られる。
東京国立博物館所蔵の短刀・銘行光に附属する「折紙(本阿弥家が鑑定結果の証明に発行した書類)」。一行目は刀工銘(刀の名前)、二行目に本物を意味する「正真」の二文字、その下に小さい字で刀身の長さや銘の種類が記されている。三行目は貨幣価格、四行目は発行年月日・干支・鑑定家の花押(サイン)が書かれている。
左安吉,By Yasuyoshi,渡邊誠一郎氏寄贈,Gift of Mr. Watanabe Sei'ichirō,東京国立博物館,Tokyo National Museum
重要文化財。筑前左文字の子と伝えられる刀工・左安吉(さのやすよし)の作。
恩賜京都博物館 編,京都印書館
骨喰藤四郎の写真(『山城物刀剣図譜』より)。粟田口吉光の作で、元は薙刀だったが、短く磨り上げて今の形になったと言われる。
羽皐隠史 著,金港堂書籍
粟田口吉光作の短刀、薬研藤四郎の押形(「詳註刀剣名物帳」より)
読売新聞社 編,誠文堂
太鼓鐘貞宗の写真(「日本名宝物語」より)。正宗の門弟貞宗の作。伊達家の宝物として伝わる。
内田疎天 著,公立社
名物小夜左文字の押形と折紙(鑑定書)の写真(『勤皇日本刀の研究』より)
槍・薙刀
徳川茂承氏寄贈,Gift of Mr. Tokugawa Mochitsugu,東京国立博物館,Tokyo National Museum
この形の槍は、戦国武将・加藤清正の愛槍として知られる。
東京国立博物館
赤穂浪士のうち、最長老の堀部弥兵衛(ほりべやへえ)のものと伝わる槍。
遊就館 編,遊就館
槍 銘和泉守兼定(人間無骨)の写真。1940(昭和40)年の神武天皇即位紀元(皇紀)2600年記念日本刀展覧会図譜より。織田信長の家臣 森長可(ながよし)の愛槍であったと言われる。
家康忠勝両公三百年祭事務所 [編],家康忠勝両公三百年祭事務所
蜻蛉切槍の写真(『家康忠勝両公三百年祭紀要』より)。本田忠勝の愛槍で天下三名槍の一つに数えられる。
長船長光,By Nagamitsu,東京国立博物館,Tokyo National Museum
重要文化財。長船派の刀工・長光の作。
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東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館とも、刀剣の所蔵多数。
刀剣に関する書籍を多数所蔵。特に重要文化財「刀尽」は我が国最古の刀剣書として知られる。
東京都墨田区にある日本刀の博物館。日本美術刀剣保存協会の付属施設。太刀 銘 延吉(国宝)、太刀 来国行(国宝)をはじめとする刀剣を所蔵しているほか、刀剣書・刀剣雑誌等の刀剣関連資料を所蔵し利用に供している。
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参考文献
- 福永酔剣 著,雄山閣出版
- 牧秀彦 著,新紀元社編集部 編,新紀元社
- 得能一男 著,光芸出版
- 深井雅海 著,吉川弘文館
- 細野耕三 著,あきつ出版
- 原田道寛 著,春秋社
- 原田道寛 著,春秋社
- 佐藤寒山 著,白凰社
- 羽皐隠史 著,崇山房
- 国立国会図書館 編,国立国会図書館「銘尽」解説文
- Japan Knowledge Libで閲覧(最終アクセス日:2019/03/18)
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- 最終更新日
- 2023/07/24