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世界中に多くの種が生息。その美しさから数々の信仰や伝承を生み、装飾や美術の題材ともなっている

チョウ目アゲハチョウ上科などに属する昆虫の総称。蝶類、胡蝶、蝶々など、古くは「かわびらこ」ともいう。世界各地に1万7600種ほどの蝶が生息するといわれ、日本では国蝶のオオムラサキのほか、モンシロチョウ、キチョウ、ナミアゲハ、カラスアゲハなど9科約250種が知られる。体は一般に細長く、胸部の二対の葉状の羽は鱗粉と鱗毛で彩られる。頭部には一対の棍棒状の触角、一対の複眼と単眼をそなえ、蜜や樹液を吸うに適したぜんまい状の口器がある。多くは昼間に活動し、ものに止まるときは羽を背上に立てる。幼虫は芋虫、青虫、毛虫と呼ばれて草木を食い、のち蛹に変態し、さらに成虫となる。

蝶は8世紀の『懐風藻』など漢詩で扱われるが、『万葉集』をはじめ『古今和歌集』『新古今和歌集』などで詠まれることはなく、中世の絵巻物にも蝶がほとんど現れないという。その背景に、蝶が人の魂と考えられ、むしろ不吉とする信仰があって、忌み言葉ですらあったらしい。美しい女のたとえとしてもみえるが、その美しさにものの恐ろしさを感じる時代もあった。『荘子』の伝える「胡蝶の夢」の故事も霊魂が蝶に姿を変えるものであるが、日本では死霊の化身とする信仰が各地でみられ、お盆の頃の黒い蝶に仏が乗っていると信じられてきた。夜更けの道で無数に舞う白い蝶に遭うと病気を患って死ぬという伝承もある。

一方では『今昔物語集』の「色々の瑠璃の蝶の簪」など古くから装飾の題材や意匠となっており、花札の「牡丹に蝶」や、婚礼などの祝宴で飾る蝶花形、家紋の「対い蝶」「揚羽の蝶」「源氏蝶」「結び蝶」など暮らしの中で親しまれてきた。昆虫採集とその蒐集としても身近で好まれてきたが、トリバネチョウなどその採集により絶滅の危機に瀕した種もある。

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高松市美術館2012/6/232012/9/2
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カメイ美術館2019/12/32020/3/1

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  • 1877(明治10)年に創立された日本で最も歴史のある博物館の一つであり、自然史・科学技術史に関する国立の唯一の総合科学博物館。生物標本から地質・理工・科学史など多岐にわたる資料を保存している。

  • 年中昆虫を大温室で観察することができる昆虫園。展示施設の中をさまざまな種類の蝶が飛び交う。

  • 園内には、一年中さまざまな蝶が見られる大温室をはじめ、蝶の飼育をする「チョウの飼育室」、草花を植えて野生の蝶を呼び寄せる「バタフライガーデン」がある。

  • 館内の「チョウの園」で、沖縄など南国のチョウを約10種類、およそ1000匹飼育。

  • 一年を通じて、日本の国蝶・オオムラサキの生態を観察できる。本館・森林科学館・生態観察施設の3つの施設から成り、施設の周囲に約6haの自然公園が広がる。 観察会や工作教室などのイベントも多数開催。

  • 現存する日本最古の昆虫専門博物館。ギフチョウの発見で知られる昆虫学者・名和靖によって設立された名和昆虫研究所の付属施設として開館。約1万2千種、30万匹の標本を収蔵し、世界の蝶の標本やギフチョウを多角的に解説した展示を見ることができる。

  • 放蝶スタイルの施設で、箕面周辺に生息している種から亜熱帯の種までさまざまな種類の蝶を飼育する。

  • 広さ600㎡の関西最大級のガラス温室で、約14種1000匹の蝶を一年中観察できる。

  • 館内には一年を通じて沖縄八重山地方の蝶が舞う放蝶温室がある。1000点を超える昆虫標本や化石標本も展示。

  • 園内には、一年を通して熱帯植物が咲く「フラワードーム」があり、日本最大の蝶・オオゴマダラをはじめ、アサギマダラやツマムラサキマダラなど約500匹の蝶を飼育。

  • 国立科学博物館附属の自然教育園で開園以来記録されたことのある生物の種名2865種、動植物や風景の写真約1900点を検索することができる。

  • 日本チョウ類保全協会が運営。本州・四国・九州でよく見られる蝶36種類を紹介する。

  • 岐阜聖徳学園大学教育学部地学・川上研究室が運営。日本に生息する昆虫の生態写真のデータベースを公開。

参考文献

  1. 「チョウ」の項
  2. 「チョウ」の項
  3. 日立デジタル平凡社,平凡社
  4. 「蝶」の項