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蛍狩り、蛍合戦など夏の風物詩として親しまれ、日本の暮らしや文化の中に生きる甲虫

ホタル科の甲虫の総称で、世界に2000種ほどが棲息する。一般に体は長楕円形で、全体に黒く、胸の辺りが赤い。日本ではゲンジボタル(体長約15mm)、ヘイケボタル(約8mm)、ヒメボタル(約7mm)、クメジマボタルなど約40種が知られ、うち10種ほどは腹部に発光器官をもち、青白い光を放ち、明滅する。とりわけゲンジボタル、ヘイケボタルは有名で、蛍狩りの対象とされ、飼養もされる。この2種の幼虫は清流にすみ、5~6月頃から羽化するが、ヒメボタル、マドボタルなど陸生の蛍も多い。ほとんど発光しない種、昼に発光する種、真冬に発光する種もある。異称に「ほたろ」「ほうたろ」「なつむし」などがある。

『日本書紀』では神の威光を蛍火にたとえ、『万葉集』では「ほのか」の枕詞として用いられている。平安時代には歌に詠まれる例が多くなり、夜空の星や漁火を「河辺の蛍」かと見立てたり、『古今和歌集』などの恋歌では胸に偲(しの)ぶ思いとして蛍の火が詠み込まれたりしている。また『源氏物語』の巻名に蛍があることもよく知られる。蛍を霊魂とみる伝説も多く、宇治川では源三位頼政の亡霊が無数の螢となって飛び交うと伝えられ、初夏の夕、川のほとりで蛍合戦が行われたという。蛍合戦は、交尾の相手を求めて空中を乱れ飛ぶことを合戦に見立てて称したもの。

蛍は夏の風物詩であり、『摂津名所図会』に蛍狩りが描かれ、歌川国芳には「四季遊観 納涼(すずみ)のほたる」の浮世絵がある。江戸時代に虫売りが盛行した頃、蛍はその第一位であったという(『守貞謾稿』)。「蛍雪の功」、消え残った炭火をいう蛍火、旬の時期が短いことをいう「蛍二十日に蟬三日」など蛍にちなむ言葉も多い。江戸時代に京都祇園の辺りで通行人の袖を引いた遊女は蛍と呼ばれた。山口市の一の坂川、椹野川などはゲンジホタル生息地として知られ、名古屋城の外堀の草地には都市部では珍しい大規模なヒメボタルの生息地がある。

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  • 蛍に関連するさまざまな資料や文献を閲覧できる。資料館の横の人工河川ではゲンジボタルが飛び交う。

  • ホタルの生態やホタルを取り巻く豊田町の自然について、実物・映像・模型・パネルなどで紹介。館外には、ゲンジボタルやヘイケボタルを観察できる「ホタルせせらぎ広場」がある。

  • 5年以上前の研究会誌を閲覧可能。ホタル関連の文献を紹介。

  • 「ほたるスポット検索」では、全国120カ所の蛍観賞スポットを検索できる。毎年蛍の観賞シーズンに、「ほたる出現予想」を公開。

参考文献

  1. 「ホタル」の項
  2. 「ホタル」の項
  3. 日立デジタル平凡社,平凡社
  4. 小学館
  5. 「蛍」の項