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方丈記

鎌倉初期の文芸作品。方丈の庵(いおり)で無常の世と自らの生き方を問う

鎌倉初期の随筆。1巻。鴨長明(かものちょうめい)作。建暦2年(1212)成立。

源平の争乱期を背景に、晩年、日野(現在の京都市伏見区)に構えた方丈(約3.3m四方)の草庵で閑居生活を送っていた長明が、安元の大火、治承の旋風、福原への遷都、養和の大飢饉、元暦の大地震と、うち続く天変地異により混沌とした平安末期の世相を記す。冒頭の一文「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」は、無常観を表白する名文として名高い。

五つの災厄を記した前半に対し、後半は自身の不遇や出家、日野に閑居を構えるにいたった経緯が述べられ、世俗の煩わしさから解放された閑寂な生活を賛美する。しかし、末尾では一転、その生活への愛着さえも、仏教の否定する執心であり、悟りへの妨げではないかとみずからに問う。

和漢混淆文で記された最初の優れた文芸作品であり、仏教的無常観を基調とし、流麗な文体で対句や比喩が巧みに使われる。作品の構想は、慶滋保胤(よししげのやすたね)の「池亭記(ちていき)」に倣うことが指摘されている。『平家物語』など、後の中世文学に大きな影響を与え、『徒然草』と並び、中世の隠者文学の代表。また、『枕草子」『徒然草』と並ぶ、日本三大随筆の一つであり、日本で最初の災害文学ともいわれる。

写本では、大福光寺本が鴨長明の自筆とされる。五つの災厄を記した部分を欠く『略本方丈記」もあるが、長明の自作か後人の偽作か、定かではない。


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  • 所在地は東京都千代田区。出光興産の創業者・出光佐三が蒐集した美術品を展示・公開するために創設。明治から昭和にかけて活躍した画家・小杉放庵の「鴨長明方丈居」「方丈の草庵」を所蔵。

  • 所在地は京都市日野。鴨長明が「方丈記」を著わしたと伝えられている場所。

  • 京都市左京区にある下鴨神社の摂社・河合神社の境内にある方丈庵。鴨長明が暮らした方丈を復元したもの。

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  • 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ 「方丈記」。京都大学図書館所蔵。

参考文献

  1. 稲田利徳, 山崎正和 [著],新潮社
  2. 小学館
  3. 集英社