日本で出会える印象派
日本国内の美術館で鑑賞できる印象派の名作。
19世紀後半にフランスの画家を中心に起こった芸術運動、「印象派」。1874年にモネ、ルノワール、ピサロ、セザンヌら若手画家たちが開催した展覧会を契機に、絵画のみならず、音楽、文学などへも影響を及ぼし、近代芸術に大きな転機をもたらした。彼らは従来のサロン(官展)で評価されたアカデミックな形式美から脱却し、目に映ったものをありのままに表現することを理念とし、絵具を混ぜず、原色をキャンバスに並置することで移ろう光を描く「筆触分割」の手法を多く用いた。また、当時流行していたジャポニズム(日本趣味)の影響を多分に受けているのも一つの特徴である。ここでは、日本国内の美術館で鑑賞できる印象派の画家たちの名作を紹介する。
印象派×風景
光の表現を追求した印象派の画家たちは、風景画を好んで描きました。彼らはアトリエを出て戸外で制作し、風景を観察することで得た感覚をすばやく大胆な筆致で画面に留めることにより、明るく生き生きとした絵を創造しました。描かれた対象は、パリ郊外の森や行楽地の自然、セーヌ川沿いの水辺の風景、あるいは近代化が進むパリの都市風景などです。
印象派×人物
印象派の画家たちが描いた人物は、聖書やギリシャ神話の登場人物や歴史上の偉人、王侯貴族ではなく、同時代のごく普通の市井の人びとでした。彼らは、当時のフランスの現代人の日常生活を、繊細な色遣いでありのままに描き出しました。それまで宗教画や歴史画が主流であった西洋絵画にとって、これはとても革新的なことでした。日常の何気ない一瞬をとらえた印象派の人物画は、当時の人びとの風俗と息づかいをありありと私たちに伝えてくれます。
印象派×植物
美しい自然の木々や草花も印象派の画家が好んで描いたモティーフです。とりわけ、クロード・モネは、フランス北部ノルマンディー地方のジヴェルニーの自邸に花々が咲き乱れる広大な庭を自ら設計し、そこで数多くの作品を描きました。モネの代表作である「睡蓮」の連作は、この庭の中の日本庭園を意識して造られた蓮池で生まれました。
印象派×静物
フランスの伝統的な絵画のヒエラルキーにおいて、最も低いジャンルの絵と見なされていた静物画。この地位を引き上げるのに大きな役割を果たしたのが、ポール・セザンヌです。セザンヌは生涯に約200点の静物画を遺しており、彼は静物画を描くことで構図や視点についての実験を試みました。その他の印象派の画家たちも生涯を通じて、身近なモティーフである静物画を描いていますが、これらの作品には伝統的な静物画とは異なり、モティーフに降り注ぐ光を描きとめようとする「印象派」的な傾向が見られます。
参考文献
- 高階秀爾 監修,美術出版社
- 島田紀夫 監修,小学館
- 日立デジタル平凡社,平凡社
