鳶
人間の生活圏内に生息するタカ科の鳥。古くは霊鳥と見なされた
鳥綱タカ目タカ科に属する全長約60cmの鳥。トンビともいう。体は黒みを帯びた褐色で胸に黒い縦斑があり、他のタカ類と違って尾先にくぼみがあるのが特徴。日本各地に棲息し、市街地や村落付近、海岸に多い。両翼を広げて上昇気流に乗り、羽ばたかないで輪を描くように飛び、「ピーヒョロロ」と鳴く。
「鳶に油揚げをさらわれる」のことわざがあるように、人間の食べ物を奪うことがある。残飯や死骸をあさるなど狩猟に頼らない面があることから、勇猛な鳥との印象が少なく、タカ類の中では人気のない鳥とされる。古くは『枕草子』で、「とび、鳥などのうへは、見入れきき入れなどする人、世になしかし」と評されている。
一方で、古くは霊鳥と見なされ、『日本書紀』には、神武天皇が日向(現在の宮崎県)から東征の途中、長髄彦(ながすねひこ)との戦いで苦戦していると、「金色霊鵄(こがねのあやしきとび)」が神武天皇の弓の上端に飛来し、金色のまばゆい光を発して敵兵の目をくらまして勝利をもたらしたと記されている。
また、天狗との関連も深く、平安時代後期の『今昔物語』では、霊力をなくして翼の折れた天狗は「屎鵄(くそとび)」と呼ばれる。さらに、鎌倉時代の『源平盛衰記』では、鳶は天狗の乗物として登場する。
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1877(明治10)年に創立された日本で最も歴史のある博物館の一つであり、自然史・科学技術史に関する国立の唯一の総合科学博物館。生物標本から地質・理工・科学史など多岐にわたる資料を保存し、鳶の標本も収蔵する。
国立民族学博物館(みんぱく)は、世界最大級の博物館機能と大学院教育の機能を備えた、文化人類学・民族学の研究所として世界で唯一の存在。六郷とんびを多数収蔵する。
園内の「ふれあい広場」では鳶が飼育展示されている。所在地は高知県高知市。
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参考文献
- 堀田正敦 著,鈴木道男 編著,平凡社江戸期最大・最高の鳥類図鑑『観文禽譜』(堀田正敦編・宮城図書館蔵)を解読・解説を行う。江戸期の鳥類500種を切抜図で紹介。(日本児童図書出版協会)