本文に飛ぶ
「桃に尾長鳥」 歌川広重 天保年間前期 /

バラ科の落葉樹。美味しい果実、節句に飾る花として日本人に親しまれてきた

バラ科サクラ属モモ亜属の落葉果樹。高さ3~8メートルほどの小高木で、葉は細長く先端がとがり、4月頃、淡紅色、白や濃紅色の5弁花を開く。実は核果で大ぶりの球形、7~8月に熟す。果実に短毛の密生するモモ(毛桃)、毛のないアブラモモ(ネクタリンなど)などがある。果肉は桃、白黄、黄色など、肉厚多汁で甘酸味が好ましい。材は黄色で細工物に用いる。種子は漢方の桃仁(とうにん)として浄血、鎮痛剤などに、葉は浴湯に入れ(桃湯)、あせもの薬とする。花を観賞するハナモモはヤエシロモモ、キクモモ、サガミシダレなど。庭樹のほか、盆栽、切花(きりばな)などに用いる。生花は桃の節句の花として知られる。

中国の黄河上流地域が原産とされ、漢代に7種が栽培されていた。日本には奈良時代初頭に渡来したとされ、毛桃と呼ばれたが、『万葉集』の「桃の樹」はヤマモモ(楊桃)とする説がある。『古事記』によれば伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が桃の実を投げて黄泉(よみ)軍を撃退させたという。平安時代には3月の節供(せちく)に桃の花を飾り、花びらを浮かべた桃酒(ももざけ)を飲む風があった。宮中の追儺(ついな)行事では桃の杖と弓などにより疫鬼(えきき)を駆逐した(『延喜式』)。江戸時代、花の色や形のさまざまな品種が作られ、江戸の四谷や中野の桃園(ももぞの)、京都の伏見山(桃山)など名所もうまれた(『山城名跡巡行志』)。松尾芭蕉に「わが衣(きぬ)に伏見の桃の雫(しづく)せよ」がある。

桃には、生命力を与える、邪気を払う、現世と異世界を結ぶなどの信仰があり、陶淵明(とうえんめい)の描く桃源郷も桃の力に由来するものであろう。日本でも魔除けのため鬼門に桃を植えたり、花祭(はなまつり)に桃の木札を配ったりする慣例がある。昔話の桃太郎は桃がその生命力を象徴する。明治初年の中国やヨーロッパからの導入で品種改良が進み、布目早生(ぬのめわせ)、白鳳、大久保、白桃などの大規模な栽培品種、早生桃山(わせももやま)、都白鳳、浅間白桃などの地方特産品種がある。山梨、福島、長野、山形、岡山などの諸県で栽培が多い。

関連するひと・もの・こと

本で知る

史書・古典に見える桃

桃の栽培、利用

昔話桃太郎

もっと知りたい

工芸品に描かれた桃

桃源郷、桃の節句など

国宝・重文を探す

絵画の桃太郎

動画を探す

過去の展覧会を探す

タイトル主催者会場開始終了

見に行く

  • 国立国会図書館は、国会に属する唯一の国立の図書館です。国内外の資料・情報を広く収集・保存して、知識・文化の基盤となり、国会の活動を補佐するとともに、行政・司法及び国民に図書館サービスを提供しています。                                             

  • 日本と東洋の文化財を守り伝える中心拠点としての役割を担う我が国の総合的な博物館です。

  • 慶應義塾大学には6つのキャンパスに図書館(メディアセンター)があり、豊富な蔵書とデジタルコンテンツの提供を通じて慶應義塾の研究・教育・医療を支援しています。

  • 慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)は、慶應義塾が長い歴史の中で蓄積してきた、美術、考古、文学、歴史、医学など多様な領域に渡る文化財コレクションと、その背後にある教育・研究活動をつなぐ「ハブ」となるミュージアムです。デジタルとアナログが融け合う環境のなかで、文化財(オブジェクト)を基点としてさまざまなコミュニティが交流し、新たな発見や発想を生み出す場となることを目指しています。

  • 東京富士美術館は、1983年11月3日に東京西郊の学園都市・八王子にオープンしました。「世界市民を育む美術館」をモットーに、世界31カ国・1地域の美術館や文化機関との友好関係を築きながら、各国の優れた芸術を紹介する海外文化交流特別展を企画・開催しています。収蔵品は日本・東洋・西洋の各国、各時代の絵画・版画・写真・彫刻・陶磁・漆工・武具・刀剣・メダルなど約3万点に及び、とりわけルネサンス、バロック、ロココ、ロマン主義、印象派、現代にいたる西洋絵画500年の流れを一望できる油彩画コレクションと、写真の誕生から現代までの写真史を概観できる写真コレクションは国内有数のコレクションとして知られています。

  • 平安時代から江戸時代の京都文化を中心とした文化財を取り扱う地域に根ざした博物館です。

  • 1998年に設立したアート・リサーチセンター(ARC)は、私たち人類が持つ文化を後世に伝達するために、芸術、芸能、技術、技能を中心とした有形・無形の人間文化の所産を、歴史的、社会的観点から研究・分析し、記録・整理・保存・発信することを目的としています。ARCが有する日本文化資源の膨大なデータベースの利用を国内外の共同研究者に開放するとともに、これまでに蓄積してきたデジタル・アーカイブ技術やデータベース管理技術を研究プロジェクト活動の基盤として提供し、情報アーカイブ・知識循環型共同研究を推進しています。こうした取組を通して、デジタル・ヒューマニティーズ分野の“世界水準の研究拠点形成”を目指しています。

  • 「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」をコンセプトにした博物館です。

  • 桃の生産量日本一の山梨県内の桃狩りができる果実園を検索できる。

  • 長野県上田市。毎年4月中旬から5月の連休にかけて約2000本の花桃が約4キロメートルの余里の里を埋めつくす。

  • 4月中頃から5月中旬まで「はなもも街道」(国道256号線)では約40kmにわたって、三色花桃など1万本の花桃が咲く。

  • 岡山県倉敷市本町。お伽話桃太郎の錦絵や歴史資料、昔の桃太郎漫画映画が鑑賞できるミニシアター、鬼が飛び出す洞窟探険などがある。

ジャパンサーチの外で調べる

  • 和歌山県紀の川市粉河。市場競争力の高い新品種の探索、品質の良い果実の生産技術、栽培管理の機械化・省力化などの試験研究を行っている。また病害虫の効率的な防除のため、新規薬剤の効果試験、環境に配慮した防除技術の開発などに取り組んでいる。 研究成果の公表、病害虫図鑑の提示、果物の生育状況や病害虫発生予察情報を報告する。

  • 日本の各地にみられる野生桃の学術研究(探索保護、栽培育種、化学成分・遺伝子解析)、および食用・薬用利用など多面的な産業利用をめざす産官学連携の研究会。

  • 植物・花の基本情報、育て方などについいて、「趣味の園芸」講師陣である専門家が執筆。園芸相談Q&Aや特集コーナーがある。「NHKみんなの趣味の園芸」(NHK出版)公式サイト。

  • 農林水産省公式Webマガジン。2020年6月号から週刊化された。特集では「ももの歴史と主な品種」などを扱う。「ふるさと給食自慢」や「達人レシピ」などの連載を載せている。

参考文献

  1. 小学館