ツバキ
日本原産の代表的な花木。ツバキ科。ヨーロッパでも、「冬のバラ」として親しまれている
青森県以南の日本全土に分布する常緑性の高木。日本原産の代表的な花木で、常緑広葉樹林域の主要樹木のため、この植生を「ヤブツバキクラス域」ともいう。数千の園芸品種があり、庭木として世界各地で栽培される。太平洋側のヤブツバキCamellia japonicaと日本海側のユキツバキCamellia rusticanaのように、生息地の降雪量の違いによる変異を別種とすることもある。青森県夏泊半島の椿山や、秋田県男鹿市の能登山などがヤブツバキの自生北限地帯とされるが、これら日本海側のヤブツバキの分布には北前船とのつながりが考えられる。
ツバキ属の学名(および英名)のカメリアは、イエズス会宣教師G. j. Kamel(1661-1706)にちなんでリンネが命名。ツバキ属には茶(チャノキ)も含まれる。
「椿」は国字。中国では、海を渡って日本から来た柘榴(ざくろ)に似た花という意味で「海石榴」とも書く。中国語では「椿」は別の植物を指し、ツバキは「山茶」と書く。花期は2-4月だが、早咲きと遅咲きがあり、前者は10月から、後者は5月に至る。
種子から採る椿油は古くから日本の特産で、8世紀には渤海使(ぼっかいし)に献上した記録がある。材は堅く、工芸や楽器に用いられた。
ツバキの花の鑑賞が盛んになったのは室町時代からで、江戸時代に入ると徳川秀忠が江戸城吹上花壇(ふきあげかだん)に多種のツバキを集め、茶の師匠であった織田有楽斎(おだうらくさい)も熱心に栽培したことから「江戸ツバキ」が全盛に。元禄年間には200種以上の品種が記録されている。
シーボルトがツバキ4品種をヨーロッパに持ち帰り、また東インド会社を通してもツバキがもたらされたことから、ヨーロッパでは「冬のバラ」「日本のバラ」として19世紀にツバキブームが起こった。
その樹齢の長さから不老長寿の神木として、魔除けの刀杖(椿杖(ちんじょう))などが作られる。長寿、長命のことを「椿寿(ちんじゅ)」ともいい、吉祥植物とされてきた。日本各地に「椿神社」「椿祭り」などが見られる。また、東大寺二月堂の「お水取り(修二会)(しゅにえ)」の飾りとして何百ものツバキの造花が飾られる。奈良ではこの造花をもした和菓子がこの時期に作られる。また、道明寺(どうみょうじ)粉で漉し餡(こしあん)を包み、上下を2枚のツバキの葉で挟んだ和菓子を「椿餅」といい、つばい餅と呼ばれた。平安時代初期からの菓子で、これを和菓子のはじまりという説もある。
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ツバキ自生北限
ツバキの園芸品種を中心に約80品種のツバキをみることができる。
1877(明治10)年に創立された日本で最も歴史のある博物館の一つであり、自然史・科学技術史に関する国立の唯一の総合科学博物館。生物標本から地質・理工・科学史など多岐にわたる資料を保存している。
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1953年に椿の愛好家の団体として設立された。2011年法人化。