Description
春草が挑戦した革新的な描法である「朦朧体」は、色面のぼかしを多用するという特質から光の拡散や湿潤な空気といったものを表現するには適していたため、朝夕の情景や水辺の情景が好んで取り上げられた。しかしその一方で、例えば大きな岩の立体感や実在感を表現するには必ずしも適していなかった。彼はその弱点克服のための一つの工夫として、点描風の筆触を用いることを試みるようになった。この作品はその代表的な作例といえるもので、滝壷の波立つ水面の様は朦朧体の特徴であるぼかしを用いて表現し、滝が落ちる大きな岩肌は細かな筆触と墨の濃淡を巧みに重ねて、岩壁の立体感や実在感を表現している。そこに紅葉した樹を入念に描いて、確かな秋の風景を描き出すことに成功している。春草が完成させた絵画表現の一端を示す重要な作例である。
Data source
The collection of Aichi Prefectural Museum of Art
The museum’s collection is particularly well endowed with international and domestic fine art from the 20th century. It contains significant works that are helpful in tracing the history of various ar...
Last updated
July 13, 2020